今回の内容はサポート先の社長が「事例は公開しても良いよ」と
許可を頂いたので具体的な「ITとDX事例」についてレポートします。

内容的にはある特殊事業者ですが、これは事業を営んでいる中小企業には応用が利く
一般的な内容でまさに「まちの総務」らしい総務&経理案件です。

ある大手事業者から委託を受けて、その内容を近隣事業者や個人事業者に
業務委託を行なっている中堅会社です。
シンプルに言うと、メーカー商品を仕入れ顧客に販売する販売代理店と同じようなモデルです♪
この様に言えばイメージ出来ますね。

メーカーから依頼(役務)があり、代理店が中継して各担当が受託(役務)を行い
その3社間で出納処理を行う請求支払い業務の事務処理相談です。

この会社で実務を担当していた事務員が退職し
次の担当に引継ぎを行いましたがかなり内容が複雑で、担当退職後もかなり混乱しており困った
こんなご相談です。

このお仕事を依頼された際に気を付けた事は以下の3点です。

  • 処理フローを明確にしてマニュアル化しましょう。
  • 処理フローから整理して合理化(IT化)出来る部分を明確化しましょう。
  • 処理フローから廃止出来る処理(可能性)を見出しましょう。

この3点を明確化するためにヒアリングと現状分析をしましょうと提案
(この部分では具体的なIT化はまだ)

その次に分析した内容を、3つに分けて実践します。

  • 処理フローがマニュアルとなり資産にする
  • 事務員担当で出来る業務効率化
  • 経営層が判断して調整すべき内容

ここまでを第一段として、その後どの方向に進むか判断しましょう。
例、自動化(オリジナル開発、SaaS導入)などの費用対効果を算出

以下の流れでヒアリング&分析をスタートします。

丁寧に具体的説明書きたいですが長くなるので端折ります。

①担当者ヒアリング
処理の流れやインプット情報、アウトプット情報(書類やExcel)などをインタビューします。
②ヒアリング内容を元に処理フロー表を作成します(自社作業)
③フロー表から効率化&改善出来る部分(過去の経験から)仮説を立てます。
④仮説を検証します。(データ量、実工数、費用)
⑤仮説検証結果を元に関係者(経営者、担当者)に状況説明と方向性の合意を取ります。
⇨ここは絶対に単独では無く経営者と担当者に同席をしてもらいます)
⑥担当者がやるべき合理化内容の明確化
経営者がやるべき調整やルール変更を明確化
⑦上記内容を実践します。

ここまでを第一段として進める事で

・担当業務を経営者も理解出来る
・処理フロー作成で全体像が見える化され、過去に囚われないあるべき姿が見えてくる
(ムダの排除や効率化案が共有できる)
⇨マニュアル化により属人化防止
・IT化(システム化)以前に既存業務内でも作業効率化とムダを省いたシンプルフローが出来る

そうして、しばらく運用してそれでも自動化(費用対効果)が見込めるので有れば
初めてシステム化(SaaS導入かオリジナル)議論に進む

流れはわかっても具体的な処理は??ですよね。
イメージで伝えます。
業務委託や受託をすると発生するのが
・見積書
・見積り詳細
・注文書
・注文受書
・請求書
・納品書
・納品詳細書
・月単位のまとめ請求書(上記は単体業務明細)

これらの書類をお互いでやり取りして手間をかけています。
これは特殊では無く多くの企業担当は同様のお仕事をしております。

この行為を行うために
・Excel転記手入力作業(まだ一部でFaxや加工出来ない状態があります)【転記ミスも誘発】
・押印があるので、確認にPDFで送付後に押印原板を郵送【いまだにある謎の押印信仰】
・たまに入力ミスや記載ミスがあるので事務員は単なるコピペでは無く確認作業も行っている【これが地味にストレス】
・複数の出納書類はやめられない【前例主義】

ここからが本丸の「DX」になります。

(狭義ではカイゼンですが広義でDXと表現)

  • 誘発する手入力ミスを廃止するために、フォーマット化してコピペで対応、FAXの廃止
  • 経営者間で押印無し又はPDF送付で対応可能か協議、担当間では難しい(担当権限が無い)
  • 最低限の必要書類に統合出来ないか協議(担当でまとまらなければ経営判断に委ねる)

この部分は非常にデリケートな内容で、担当者では判断出来ず
前例主義とか謎のルール(過去のしがらみ)などがありますが
粘り強く交渉して行きます。

まだ根強いFAX信仰会社もありますが
ここは絶対に譲らずにサポートも含めて最低限Excelファイルをメールで送って
頂けるようゴリ押しします。(それでもダメなら契約を切る位の覚悟で)

ここまで見ていただいて何となく気付きませんか?
単にデジタル化とかDXと一言で括ってもこれだけ地味に事前準備が必要になります。

この部分は一番大事な所で、この分析をせずに
「仕事が大変だ」「弊社は遅れてる」「属人化している」
「電子化出来ないのか」と表面的な不満や愚痴が出るだけで
本質的な解決策を講じないのが一般的です。

私の方も何故、こんな内容を共有しているかと言いますと
DXやIT化が出来ていない根っこ(原因)は全てこの様な所に落ち着きます。

またこの様な分析は自社内だけでは絶対に出来ません。
経営者と担当者の溝が埋まらないため
第三者の客観的な見方やデータを分析した事実でしか説得も納得もしてもらえません。

これは一朝一夕で出来るものでは無く
単にデジタル教育やプログラム教育で学んだ知識とは多少別の部分があります。

特殊な知識では無いです
原理原則に則り基礎情報を集めてムリムダを徹底的に炙り出した内容を
カイゼンするだけのシンプル内容です。

この文章で共感出来ましたら相談下さい。
一緒にカイゼンムーブメントを起こしましょう。

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