前回は「デジタルガバナンス・コード」の「4.成果指標の設定・DX戦略の見直し」について
解説をしました。
今回は最終章として、DX認定取得のメリットと取得後に目指す未来像についての考察です。
DX認定取得のメリット
DX認定取得のメリットは経済産業省のHP上に記載されております。
DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度)
メリットと言うより「DX認定取得にて活用出来る各種支援措置」に価値を見出すのかと思います。
支援措置1:DX認定制度ロゴマークの使用
認定事業者がホームページや名刺等で「自社がDXに取り組んでいる企業」であることを
社内外に向けてPRするためのロゴマークを使用できます。
認定ロゴマークが使用可能になりますのでHPや企業パンフ等で対外的に「DX積極推進企業」との
経済産業省のお墨付とPRに活用出来ますになります。
支援措置2:中小企業を対象とした金融支援措置
日本政策金融公庫による金利優遇としてDX認定を受けた中小企業者が行う設備投資等に必要な資金
について、基準利率(1.50%)よりも低い特別利率②(0.85%)で融資を(※)受けることができます。
※利率はいずれも2024年7月時点の情報です。
支援措置3:税制による支援措置
DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制
デジタル人材の育成・確保に取り組むとともに、成長性の高い海外市場の獲得を含めた売上上昇に
つながる「攻め」のデジタル投資を促すため、全社レベルのDXに向けた計画を主務大臣が認定
DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対し、税額控除(5%又は3%)
もしくは特別償却30%を措置します。
支援措置4:人材育成のための訓練に対する支援措置
人材開発支援助成金(人への投資促進コース)
DX認定を受けた事業者は高度デジタル人材訓練の対象事業主としての要件を満たし、訓練経費(最大75%)
や訓練期間中の賃金の一部(最大960円/時間)等について助成を受けることができます。
支援措置5:DX銘柄及びDXセレクションへの応募が可能
DX銘柄の選定対象として、DX認定の取得が必須となります(上場企業)。また、DX認定を取得すること
で、DXセレクションへの自薦での応募が可能となります(中堅・中小企業等)。
以上の様な「支援措置」が取られる様ですが、やはりお国からのお墨付(ブランド)としての取得が
目的の様ですね。
実態は別にしても「組織として前向きに取組んでいますよ」が重要になると言う訳です。
今後、この制度「DX認定」がどこまで進むか?一過性に終わるか分かりませんが
何らかの方向性への羅針盤になる事は間違い無さそうです。
但し、制度取得「認定」と言う目的に進むことだけは避けないと、手段と目的を履き違えますので
注意が必要ですね。
DX認定取得後に目指す未来像
DX認定の制度は理解しました、ここからは「まちの総務」的なDX認定取得後の未来像として
目指す方向性について考えてみたいと思います。
「DX」について研修セミナーなどでもお話させていただいておりますが。
「DXは個別最適ではなく、全体最適で最大効率化を図りましょう」になると思います。
これを企業に置き換えると、一企業の繁栄のためのDXでは無く、体力のある企業が
率先してDXを牽引し、他の企業へ展開を積極的に進めて個別企業の最適化だけで無く全体企業の
底上げにも注力して行きましょう。
がゴールになると信じております。
「あなたの困ったは既に解決している誰かがいます by まちの総務」
ここから紐解くと「進むべき未来像」が見えて来ると思います。
IT人材育成などでは、企業の発展ももちろんですが、そこで得た情報は是非とも体力の無い企業へも
展開サポート出来る環境があると良いですね。
方向性として、企業毎に人材育成して「人材不足…」と嘆くよりも、育成した人材コミュニティを
活用して情報共有出来る仕組みや相互サポートが出来れば最高です。
製造現場などでの「IoT導入」も当初は人員や予算規模の大きな企業での独壇場でしょうが、仕組みが
落ち着いた段階で標準化を進めるべきです。
IoT取得データ(ビッグデータ)の活用に関しては別個でも、設備などからセンサー等で情報収集する
仕組みやクラウド管理は共通の仕組み(汎用化)で良いはずです。
IoTの汎用化(民主化)でハード&ソフト費用を下げて小規模事業者への導入ハードルを下げる
活動自体が大切です。
もう一歩踏み込んで「IoTでの取得データ活用」においても、特殊技術は置いておき、それ以外の
「設備管理」などのコンディション監視やメンテ管理は共通の仕組みで良いはずです、設備メーカーや
各企業(大手)の設備技術力を共有して設備管理能力の底上げと専門技術者の有効活用にも効果は
出ると期待します。※企業を超えた設備メンテパーツの共有化にもつながります。
以上は一例ですが、DXの進むべき道として全体最適化(体力のある会社が他の企業を支える)
することが大切な内容と考えます。
企業力の競争はもちろん必要ではあり、そこは理解しながらも
DXによる全体最適化、それこそがインターネット時代のあるべき姿では無いか?
もっと言うと、技術の進化の目的は「皆がハッピーに」を目指すべきかと思います。
「誰も取り残さないデジタル社会」を目指したい出すね。
「あなたの困ったは既に解決している誰かがいます by まちの総務」