
小規模事業者の「現場改善×DX」活動で実際に効果が見えた 2つの事例記事 を紹介します。
どちらも「忙しすぎて改善できない」という悩みを乗り越えたリアルな事例です。
【事例紹介①】月末残業80時間→20時間へ削減!
アナログ帳票の見直しで“本当に必要な作業”が見えた話
■ 業種:金属部品の加工・組立業(従業員数18名)
■ 課題:「毎月の月末処理が終わらず、現場も事務も疲弊」
この会社では、工程進捗や出荷状況、品質記録など、あらゆる情報を紙ベースで記録していました。
記録そのものは必要ですが、同じような内容を何度も手書き転記する作業が常態化しており
業務全体が極めて非効率に。
特に月末には、書類の整理・確認・転記作業が集中し、現場作業員の残業が月平均80時間を超える月も。
■ 実施した改善
- 帳票を徹底的に見直し、「誰が」「何のために」「いつ使うか」を棚卸し
- 必要な帳票だけに絞り込み、Excelによる簡易な入力フォームに置き換え
- データは共有化してリアルタイムで共有し、事務と現場が二重入力しないように統一
■ 効果
- 重複・転記作業が大幅削減
- 入力ミスも減り、確認時間が半減
- 月末残業:80時間 → 20時間へ削減
■ ポイント
この事例の成功ポイントは、「何をDX化するか」よりも、「何をやめるか」から入ったことです。
テクノロジーは“効率化”の手段であって目的ではありません。
「やらなくていいこと」をあぶり出した上で、最小限のITツール導入で改善を実現した好例です。
【事例紹介②】受注対応の遅れをゼロに!ホワイトボードから「共有カレンダー」へ
見える化が変えた現場の動き
■ 業種:店舗什器の製作・施工業(従業員数12名)
■ 課題:「急な注文に対応できず、機会損失が増加」
この会社では、作業予定や施工スケジュールを壁のホワイトボードに手書きで管理していました。
しかし、外出先から確認できず、営業担当と現場のスケジュール共有が曖昧に。
その結果、急な受注や納期調整に対応しきれず、「対応できないからキャンセル」される
ケースが月に数件発生。これはまさに“機会損失”そのものでした。
■ 実施した改善
- Googleカレンダーで作業工程・施工予定を見える化
- 営業・製造・施工担当の予定を一元化し、全員がリアルタイムで閲覧可能に
- カレンダー入力はスマホからも簡単にできるよう手順を統一化
■ 効果
- 外出先からスケジュールが確認でき、急な受注への対応力が向上
- 作業負荷の偏りが見えるようになり、リソース調整がしやすくなった
- 月に数件あった機会損失がほぼゼロに
- 営業と現場の連携がスムーズになり、チームの雰囲気も改善
■ ポイント
この事例の肝は、「紙の限界」をデジタルで突破した点です。
ホワイトボードでは実現できない“共有と連携”を、スマホで可能にしたことで、
スピード感のある対応と信頼性の向上を実現しました。
IT化といっても、高度なシステムを使ったわけではありません。
無料ツールを最大限に活用したシンプルな取り組みです。
◆ 最後に──改善は「特別なこと」ではない
今回ご紹介した2つの事例に共通しているのは、
- 無理に高額なシステムを導入したわけではない
- 専門知識がなくても実行できた
- 最小限の工夫で大きな効果を生んだ
という点です。
「忙しくて改善どころではない」という声は非常に多いですが、
「ほんの少しの視点の切り替え」だけでも、現場は確実に変わり始めます。
📝 こうした事例は、これからも継続してご紹介していきます
「あなたの困ったは既に解決している誰かがいます。
その“知見のシェア”が、改善の第一歩になるかもしれません。
次回は小規模事業者にありがちな 「現場改善・DX化の失敗事例」と
そのリカバリー方法 をご紹介いたします。