自分の仕事を引き継げる人がいない

企業支援の現場に立っていると、実に高い頻度で耳にする言葉があります。
それが「代わりがいないんです」という嘆き節。

詳しく話を聞いてみると、多くは50代の管理職の方です。
次の世代へバトンを渡す時期に差しかかりながら、こう口にされます。

「自分の仕事を引き継げる人がいない」
「次を任せられる人材が育っていない」

ここで少し視点を変えてみましょう。
この言葉、よくよく分解すると
「代わりがいない」ではなく「自分の代わりがいない」
と言い換えられるケースが非常に多いのです。

優秀だった人ほど、引き継ぎが難しくなる理由

正直に言えば、こうした方々は総じて仕事ができる人
(または出来ると思い込んでいる人)です。
現場を引っ張り、結果を出し、会社を支えてきた自負もあるでしょう。

だからこそ
・自分がやった方が早い
・任せるのは不安
・最後は自分が責任を取る

そんな判断を積み重ねてきた可能性は否定できません。

人がいないのでは無く育ててこなかった

結果としてどうなるか。
「育ててこなかった」という事実には、あまり言及されないまま
「代わりがいない」という結論だけが残ります。

これは決して珍しい話ではなく、
いわゆるワンマン型の上司に非常によく見られる構図です。
部下は、上司をよく見ています

一方で、部下の側はどうでしょうか。

・責任ばかり重そう
・あの人みたいに働きたくない
・どうせ任せてもらえない

そんなネガティブな感情を抱いている可能性もあります。

もしこうした関係性が続いているとしたら、
その職場はすでに「混ぜるな危険」状態です。

この状態で「次の世代を育てよう」
というのは、残念ながら幻想に近いと言わざるを得ません。

では、今からでも改善できるのか?

これは正直、簡単な問いではありません。
なぜなら
必要なのは、周囲の変化ではなく、本人の大幅なマインドチェンジだからです。

現状の延長線上で頑張り続けても、
時間だけが過ぎ、状況はほとんど変わりません。

処方箋は、ほぼ二択

処方箋は、極端に聞こえるかもしれませんが、ほぼ二択です。
• 権限を委譲する
• 自分が一線を引く

そして、最も重要なのがこの意識転換です。
「あなたの代わりはいくらでもいる」
「あなたがいなくても、会社は続く」

身も蓋もない言葉ですが、これを受け入れられるかどうかが分岐点になります。

残り時間から逆算するという考え方

50代半ば。
会社員人生は、決して無限ではありません。

ここから必要なのは
「自分が頑張る」ことではなく
「頑張る人を育てる」こと。

主役を降りる準備こそが、最後にできる最も価値のある仕事なのかもしれません。

受ける側にも、現実的な判断は必要

もちろん、もう一つの現実もあります。
どこまでいっても、やる気のない人は一定数いる。

この層を変えようとするのは、
時間もエネルギーも相当かかります。

であれば
・配置転換
・役割変更
・外部人材の活用

など、環境を変える判断も必要です。

「同じ人」はいなくても、「任せられる人」はいる

最後に、ぜひもう一度社内を見回してみてください。
あなたと全く同じ人はいないかもしれません。
しかし
言われたことを理解し、前に進められる人は、案外いるものです。

  • 完璧を求めない。
  • 60点で任せてみる。
  • 失敗も含めて経験にする。

そうすると、不思議と会社は回り始めます。

変わるべきは「人」ではなく「自分自身の考え方」

「代わりがいない」という呪縛を解く鍵は、
実はすでに、あなたの手の中にあるのかもしれません。

ひとつだけ重要なこと
これまでの内容はあくまでも会社員の立場でのことです。
これが経営者となるとお話は全然別になりますのであしからず。