前回は組織のDX推進における「やる気のある無能」と少し乱暴な表現しましたが
多くの方が他人事のように思うと思いますが、自分自身でも振り返る必要もあります。
結構、私自身も「やる気のある無能」で迷惑かけていたかもしれません・・・

ドイツの軍人ハンス・フォン・ゼークトは、組織における人材を
「能力があるか/ないか」「やる気があるか/ないか」 の2軸で4つに分類しました。
この考え方は、軍隊だけでなく、企業組織やデジタル変革(DX)を推進する際にも応用できます。
本記事では、ゼークトの4分類を解説し、DX推進にどのように活かせるかを考えてみます。

ゼークトの4分類

ゼークトは、組織の人材を以下の4つに分類しました。

  1. 有能 × 意欲的(◎):指揮官にするべき人材
  2. 有能 × 無気力(○):参謀や専門職に適した人材
  3. 無能 × 無気力(△):単純作業を任せるべき人材
  4. 無能 × 意欲的(×):組織の害になる人材

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

有能 × 意欲的(◎):指揮官にするべき人材

特徴

  • 自分で考え、行動し、周囲を巻き込む力がある
  • 目標達成に向けて戦略的に動ける

DX推進における活用
DXを推進するには、このタイプがリーダーとなるべき です。彼らは ビジョンを描き、メンバーを
巻き込みながらプロジェクトを推進できる ため、現場の理解を得ながら変革を進めるのに適しています。

注意点

  • 独断的になりすぎると周囲がついてこなくなる
  • 現場の課題を理解せずに理想論ばかり語ると、反発を招く

有能 × 無気力(○):参謀や専門職に適した人材

特徴

  • 優れた知識やスキルを持っているが、自発的には動かない
  • 指示されれば的確に仕事をこなす

DX推進における活用
専門的な業務やデータ分析、システム設計などに適している タイプです。
DXを成功させるには、有能な参謀役 が必要です。彼らが的確な分析や技術的なサポートを提供する
ことで、リーダーが戦略を遂行しやすくなります。

注意点

  • 放っておくと積極的に動かないため、役割を明確にし、適切な指示を出す必要がある

無能 × 無気力(△):単純作業を任せるべき人材

特徴

  • 指示されたことはこなすが、創造的な仕事には向かない
  • 変化に対して消極的

DX推進における活用
このタイプの人材は、定型業務やサポート業務に適しています
例えば、マニュアル化された作業や、システム導入後の単純なデータ入力などを任せるとよいでしょう。

注意点

  • DX推進の際に「変化を嫌う層」になりやすい
  • うまく巻き込まないと、抵抗勢力になる可能性がある

無能 × 意欲的(×):組織の害になる人材

特徴

  • 自分のやり方を押し通そうとするが、判断が誤っている
  • 必要のない仕事を増やしてしまう

DX推進における問題点
このタイプがDX推進の中心にいると、「目的を見失ったシステム導入」「意味のないデータ入力作業の
増加」「現場の混乱」 などが発生します。
典型例としては、デジタル化の目的を理解せずに「とにかくシステムを入れよう」とする経営層
現場を知らずに複雑なルールを作る管理職 などが挙げられます。

対策

  • 重要な意思決定から外す
  • 不適切な指示を出さないように監視する
  • 方向修正できるリーダーを配置する

ゼークトの4分類をDX推進にどう活かすか?

①リーダー(有能 × 意欲的)を中心に据える
→ DXの旗振り役として、ビジョンを示し、現場を巻き込む

②専門家(有能 × 無気力)を活用する
→ 技術的なサポートやデータ分析を担当させ、的確なアドバイスをもらう

③単純作業層(無能 × 無気力)をサポート役にする
→ 定型業務やデータ整理を担当し、業務の安定運用を支える

④害になる人(無能 × 意欲的)を適切に管理する
→ 重要な判断から外し、余計な混乱を招かないようにする

まとめ

ゼークトの組織論は、軍隊だけでなく企業における組織つくりおいても有効なフレームワーク です。
特に、日本の企業では 「無能 × 意欲的」な層がDXを進めることで混乱が生じる ことが多いため、適切なリーダーを配置し、専門家の知見を活かすことが重要です。

DXの成功には、「誰が推進するのか?」が大きなカギを握ります。
あなたの職場のDX推進メンバーは、ゼークトの分類でどのタイプでしょうか?
ぜひ一度、整理してみてください。