「忙しい、忙しい……」
これは、サラリーマンが最も頻繁に口にする言葉かもしれません。
しかし、ふと立ち止まって自分の一日を振り返ってみたとき、「本当に“価値を生み出していた時間”は
どれくらいあったのか?」と問われたら、答えに詰まる方も多いのではないでしょうか。

本章では、“忙しさ”の正体を明らかにしながら、それが改善や成長を阻む最大の要因であることを解説し
具体的な対応策を紹介します。

■ なぜ、サラリーマンは常に「忙しい」のか?

まず、「忙しい」には大きく2つの要因があります。

  1. 本業の肥大化と属人化
    • 本来の業務に加えて、担当業務が年々増えている
    • 書類・資料作成や会議など“成果が見えにくい”仕事が増殖している
    • 経験値があるがゆえに頼られ、「自分しかできない」状態に陥る
  2. 無意識の時間浪費
    • 無意味な会議、意味不明なExcelフォーマットの修正
    • 何となくで出席している打合せ
    • 「誰かのための資料」づくりで、肝心の“行動”は後回し

これらが複合的に絡み合い、1日の大半が「忙しさに追われる時間」で消耗されていくのです。

■ 自分でできる「忙しさ」からの脱出策

「忙しい」状況は、完全には避けられません。ですが、“忙しさの中身”を変えることはできます。

  1. タスクの「捨てる・減らす・任せる」
    • その仕事は「今すぐ」「自分が」「やらねばならない」のかを仕分ける
    • 「やらない」選択を増やす勇気も必要
    • 手順やフォーマットをマニュアル化し、他者に任せられるようにする
  2. 時間簿で“振り返り”を習慣化
    • カレンダーに「予定」だけでなく、「実際に何に時間を使ったか」を記録
    • 無意識に使っていた時間を可視化するだけで改善が始まる
  3. 予定を“予約”するのは自分の時間から
    • 重要な仕事ほど先に「自分の作業時間」を確保しておく(逆に会議や応急対応は後に回す)

■ 第三者の力を借りないと突破できない壁

「自分だけでできることには限界がある」
これが忙しさの構造的な厄介さです。以下のような状況は、組織としての対応が不可欠です。

● 組織全体の業務棚卸し
• 一人一人の業務を洗い出し、「ムダ」「重複」「目的不明」を徹底的に排除する
• 改善提案制度や業務見直し会議の導入

● リモートワークや制度の柔軟化
• 時間の使い方を自律的にデザインできる環境の整備
• 「出社している=仕事をしている」という発想の見直し

● マネジメント層の理解と裁量の移譲
• 上司が「余白ある働き方」を認めなければ現場は変わらない
• 忙しさを「成果の証」と見なす風潮から脱却する必要がある

■ 忙しさを制する者が、改善を制す

改善を実行するには、まず“時間の余白”が必要です。
逆に、いつも手一杯の状態では「工夫」も「発見」も生まれません。

忙しさは、ある意味“現代の言い訳”です。
その言い訳の裏側にある非効率や惰性を見つめなおすことこそが、
サラリーマン生活をブレイクスルーする第一歩です。