
「忙しい、忙しい……」
これは、サラリーマンが最も頻繁に口にする言葉かもしれません。
しかし、ふと立ち止まって自分の一日を振り返ってみたとき、「本当に“価値を生み出していた時間”は
どれくらいあったのか?」と問われたら、答えに詰まる方も多いのではないでしょうか。
本章では、“忙しさ”の正体を明らかにしながら、それが改善や成長を阻む最大の要因であることを解説し
具体的な対応策を紹介します。
■ なぜ、サラリーマンは常に「忙しい」のか?
まず、「忙しい」には大きく2つの要因があります。
- 本業の肥大化と属人化
• 本来の業務に加えて、担当業務が年々増えている
• 書類・資料作成や会議など“成果が見えにくい”仕事が増殖している
• 経験値があるがゆえに頼られ、「自分しかできない」状態に陥る - 無意識の時間浪費
• 無意味な会議、意味不明なExcelフォーマットの修正
• 何となくで出席している打合せ
• 「誰かのための資料」づくりで、肝心の“行動”は後回し
これらが複合的に絡み合い、1日の大半が「忙しさに追われる時間」で消耗されていくのです。
■ 自分でできる「忙しさ」からの脱出策
「忙しい」状況は、完全には避けられません。ですが、“忙しさの中身”を変えることはできます。
- タスクの「捨てる・減らす・任せる」
• その仕事は「今すぐ」「自分が」「やらねばならない」のかを仕分ける
• 「やらない」選択を増やす勇気も必要
• 手順やフォーマットをマニュアル化し、他者に任せられるようにする - 時間簿で“振り返り”を習慣化
• カレンダーに「予定」だけでなく、「実際に何に時間を使ったか」を記録
• 無意識に使っていた時間を可視化するだけで改善が始まる - 予定を“予約”するのは自分の時間から
• 重要な仕事ほど先に「自分の作業時間」を確保しておく(逆に会議や応急対応は後に回す)
■ 第三者の力を借りないと突破できない壁
「自分だけでできることには限界がある」
これが忙しさの構造的な厄介さです。以下のような状況は、組織としての対応が不可欠です。
● 組織全体の業務棚卸し
• 一人一人の業務を洗い出し、「ムダ」「重複」「目的不明」を徹底的に排除する
• 改善提案制度や業務見直し会議の導入
● リモートワークや制度の柔軟化
• 時間の使い方を自律的にデザインできる環境の整備
• 「出社している=仕事をしている」という発想の見直し
● マネジメント層の理解と裁量の移譲
• 上司が「余白ある働き方」を認めなければ現場は変わらない
• 忙しさを「成果の証」と見なす風潮から脱却する必要がある
■ 忙しさを制する者が、改善を制す
改善を実行するには、まず“時間の余白”が必要です。
逆に、いつも手一杯の状態では「工夫」も「発見」も生まれません。
忙しさは、ある意味“現代の言い訳”です。
その言い訳の裏側にある非効率や惰性を見つめなおすことこそが、
サラリーマン生活をブレイクスルーする第一歩です。