
第1回:VA・VEの基礎知識編 “価値を生む”とは何かを理解しよう
VA(Value Analysis)・VE(Value Engineering)の違いと基本を、新人にも分かりやすく
「コストダウン」と「価値向上」の本質を学び、なぜ今この考え方が重要なのかを解説します。
第2回:VA・VEが中小製造業の命綱 – “提案力”こそ最大の競争力
下請け構造の中で「低コスト」「短納期」だけを武器にしていては未来はない。
VA・VE提案によって企業価値を高める“応用技術力”と“柔軟対応力”こそが生き残りの鍵であることを実例を交えて解説。
第3回:VA・VEは一朝一夕に成らず – “技術文化”として根付かせる組織づくり
VA・VEを実践できる人材や仕組みは自然発生しない。
教育・登用・外部連携を通じて、企業の「課題解決力」を組織の文化として育てる重要性を掘り下げる。
第1回:VA・VEの基礎知識編
「コストを下げろ」「ムダを減らせ」
現場ではこの言葉が毎日のように飛び交っています。
しかし、“コストダウン=価値向上”ではありません。
製品の価値を構成する要素は「品質」「機能」「コスト」「納期」「信頼性」など多岐にわたります。
この“価値”をどう定義し、どう最大化するか
その答えの一つが「VA(Value Analysis)」と「VE(Value Engineering)」という考え方です。
VA・VEとは何か?
まずは基本から押さえましょう。
| 用語 | 英語表記 | 主な対象 | 定義・目的 |
|---|---|---|---|
| VA | Value Analysis | 既存製品 | 現在ある製品・工程を分析し、価値を高める改善活動 |
| VE | Value Engineering | 新製品 | ・設計段階 設計段階で価値を最大化し、コスト削減と品質確保を両立する設計 |
つまり
• VAは「今あるものを見直す」
• VEは「新しく作る段階で工夫する」
という違いがあります。
“コストダウン”と“価値向上”の違い
単なるコスト削減は、しばしば「安かろう悪かろう」に陥ります。
VA・VEの本質は、コストを下げても価値を下げない(むしろ高める)こと。
たとえば:
• 材料を変更しても機能を維持する設計工夫
• 工程を見直して作業時間を短縮する改善
• 部品の共通化による在庫削減
これらは「コスト削減=価値維持・向上」を両立させる典型的なVA・VE活動です。
VA・VEの大切さ
中小製造業においてVA・VEは単なる技術論ではなく、生き残り戦略そのものです。
・原価高騰
・人手不足
・納期短縮要求
これらすべての課題に対して、VA・VEは“攻めの改善”を可能にします。
また、VA・VE活動を通じて現場の知恵を引き出し、技術伝承や若手育成にもつながります。
「ただ作る会社」から「提案できる会社」へ
その第一歩が、VA・VEの理解から始まるのです。
次回予告(第2回)
次回は「中小製造業の生き残り戦略としてのVA・VE」。
「低コスト」「短納期」だけを強みとする経営の限界と、
“提案型ものづくり企業”への転換について掘り下げていきます。
全体アジェンダ(3回シリーズ全体像)
| 回 | テーマ | 主な内容 | 対象読者 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | VA・VEの基礎知識 | 用語・目的・価値の考え方 | 新人・若手技術者 |
| 第2回 | VA・VEが企業価値を変える | 提案力・応用技術の重要性 | 経営者・中堅管理者 |
| 第3回 | VA・VE文化の育成 | 教育・登用・外部連携 | 経営層・人材育成担当者 |
