大手企業による人員整理の動きが止まりません。
特に「50歳前後」や「管理職層」が、いわゆる“狙い撃ち”されるケースが増えています。
一見、黒字企業であってもリストラを行う、いわゆる「黒字リストラ」という動きは
もはや特別なことではなくなっています。

■ なぜ今、黒字でもリストラなのか?

企業側の立場からすれば、問題社員や成果を上げられない社員を個別に整理したくても
日本では労働法上の制約が非常に強く
米国のような「企業都合のレイオフ(整理解雇)」は簡単にはできません。
そのため、特定の個人を指名して退職させるのではなく「ある年代」や「職位層」などで
区切りを設け退職金の割増や再就職支援などの“有利な条件”を提示し
希望退職制度として人員を整理する手法が取られています。

しかし、これは企業にとっても「諸刃の剣」です。
募集をかけた結果、会社が本当に辞めてほしい人は残り
優秀で転職市場でも評価の高い人材ほど先に辞めていく
そんな逆転現象が起こりやすいのです。
そのため、企業にとっても非常に難しい判断を迫られるのが実情です。

また、「黒字リストラ」という言葉からは「なぜ利益が出ているのに?」という疑問も生まれます。
実際には、企業がまだ余力のあるうちに将来への備えとして組織をスリム化し
経営の筋肉質化を図るつまり、退職金の割増を“投資”と捉えた前向きなリストラでもあるのです。

■ この問題の本質は「構造の転換」

黒字リストラの背景には、日本社会が抱える構造的な課題があります。
年功序列や終身雇用の崩壊が進みながらも、制度的にはまだその名残が強く残る。
企業も従業員も、その“中途半端な過渡期”に取り残されているのです。

この状況を若い世代はどのように見ているでしょうか。

上の世代が突然リストラされる光景を目の当たりにしながら
会社に依存しない働き方やキャリア形成の重要性を強く感じている人も多いはずです。
同時に、仕事へのモチベーションや「会社に尽くす」という意識が希薄化していくことも避けられません。

■ 50代になってからでは遅い。今から始める“自立準備”

私自身も過去に、会社の業績悪化を機に希望退職に応じ
割増退職金をいただいて早期退職した経験があります。
もっとも、私は若手の頃から「いつか独立する」という明確な目標を持ち
自己投資を続けてきたため、退職の際には迷いよりもチャンスを感じていました。

その経験から言えるのは
「会社に依存しない生き方の準備は、40代に入る前から始めておくべき」
ということです。

今の30代も、数十年後には必ず“その時”を迎えます。
50歳を過ぎてから慌てても、スキルも環境も整っていなければ間に合いません。

大切なのは「会社という箱」に依存せず、どんな環境でも通用する力を磨くこと。
自分の市場価値を高める学びや実践を日常的に積み重ねることが
これからの時代の最大のリスクヘッジになるでしょう。

■ 終身雇用の終焉を前向きに捉える

黒字リストラは、悲しいニュースとして語られることが多いですが
見方を変えれば「日本型雇用の大転換」の象徴でもあります。
変化を恐れて会社にしがみつくか、変化をチャンスとして自分を磨くか。
その分かれ道に立っているのが、今の私たちなのです。

▼まとめ

  • 黒字リストラは「人員整理」ではなく「構造改革」の一環
  • 優秀な人ほど辞め、残る人の再配置が課題になる
  • 企業も従業員も「依存」から「自立」へ意識転換が必要
  • 30代からのキャリアリスク対策が、将来の安定につながる

希望が持てるキャリアとは、会社に与えられるものではなく、自分で築くものです。
これからの時代、サラリーマンにとっても“経営者的視点”が求められています。