
第1弾では、生産管理システムの全体像を整理しました。
今回はそこから一歩踏み込み、製造管理(生産管理)の中心部分である
物流管理・進捗管理・品質管理 について詳しく解説します。
製造管理は、工場の「計画 → 実行 → 実績 → 改善」を継続的に回すための重要な要素であり
生産管理システムを導入する価値の大部分を占める領域です。
■ 1. 製造管理とは何か(核心)
製造管理とは、工場内の モノ(材料・仕掛品)と情報(指示・実績・品質)の流れを制御する
管理活動 のことです。
一般に以下の 3 つで構成されます。
1. 物流管理 :モノの流れ(材料 → 工程 → 製品)
2. 進捗管理 : 作業の流れ(どの工程がどこまで進んだか)
3. 品質管理:製品状態の管理(検査・不良・改善)
これらがうまく連動することで、
「納期」「生産性」「品質」「原価」すべてが改善される仕組みになっています。
■ 2. 物流管理(材料 → 工程 → 製品)でできること
物流管理とは、材料が工場に入り、工程を経て製品として出荷されるまでの
モノの動き を管理する仕組みです。
● ① 受入・入庫管理(材料が工場に入る)
製造に必要な材料が受入検査を経て入庫し、在庫として登録されます。
システムでできること
• 購買手配と連動した入荷予定の管理
• 受入実績の記録
• ロット番号登録(トレーサビリティに必須)
• 材料在庫の自動更新
● ② 工程内の材料・仕掛管理(WIP 管理)
材料が工程に投入されると「仕掛品(WIP)」となり、生産能力と直結する大切な情報になります。
システムでできること
• 投入時に材料在庫を減算
• 工程ごとに仕掛数量を見える化
• 工順に基づく工程移動の管理
• 工程間の滞留時間や仕掛量を分析
これにより
• 工程のボトルネック発見
• 不要在庫の削減
• リードタイム短縮
が可能になります。
● ③ 完成・出庫管理(製品の完成 → 出荷)
工程を完了した製品は「完成品在庫」に移り、必要に応じて出荷されます。
システムでできること
• 完成実績登録 → 製品在庫へ自動反映
• ロットトレース(どの材料を使ったか)
• 出荷指示との連動
• 出庫記録・受注引当
物流管理は在庫管理と密接につながっており、工程実績と在庫がリアルタイムで連動することが
ポイントです。
■ 3. 進捗管理(作業の流れを見える化)でできること
進捗管理は、受注品・注文品が工場内で「どの工程まで進んでいるか」を把握する管理です。
これが適切に行われていないと、以下の問題が起きます。
• 状況がわからず納期回答ができない
• 工程間での滞留が多くリードタイムが延びる
• 生産計画が狂い手配過多・不足が発生
● ① 生産計画管理
受注数や需要予測をもとに「いつ・どの製品を・どれだけ作るか」を計画します。
システムでできること
• 受注情報との自動連携
• 工程負荷の見える化(キャパシティ管理)
• 外注加工の計画
• 設備・人員負荷の調整
● ② 作業指示管理(オーダー管理)
生産計画に基づいて工程ごとに「作業指示書」を発行します。
システムが行うことは、
• BOM に基づく必要材料の自動展開
• 工順(ルーティング)に基づく工程設定
• 作業者・設備への割当
• 工順通りに進んでいるかの追跡
など。
● ③ 作業実績管理(出来高・工数・不良)
作業が完了したら、以下の情報を実績として登録します。
• 加工数
• 不良数
• 作業時間(工数)
• 段取り時間
• 機械停止時間
これらが蓄積されることで
• 標準工数の見直し
• 作業者の生産性分析
• ボトルネック工程の特定
• 原価計算の精度向上
が可能になります。
■ 4. 品質管理でできること(品質保証体制の基盤)
品質管理は、製造工程・検査工程での品質記録を行い
不良の原因を特定し、再発防止を行う領域です。
● ① 検査記録管理(規格値と測定)
製品の寸法・外観・性能などをチェックし、検査成績として登録します。
システムでできること
• 検査項目の設定(規格値・上限値・下限値)
• 検査結果の記録
• 合否判定の自動化
• 不良区分の登録
● ② 不良管理・異常点管理
異常や不良が発生した場合、原因を明確化し、改善につなげます。
主な管理項目
• 不良品の内容
• 不良原因(材料不良/工程不良/作業ミスなど)
• 不良発生工程
• 対策内容(即時処置/再発防止策など)
これにより
• 現場の改善サイクルが回る
• 品質トレンドの把握
• 再発防止の定着化
が実現できます。
● ③ トレーサビリティ(ロット追跡)
品質保証の観点で必須機能です。
できること
• 使用した材料ロット ⇔ 完成品の紐付け
• 不良発生時の対象ロットの特定
• 遡及調査により迅速な対応
食品・医薬・自動車関連では必須の仕組みとなっています。
■ 5. 製造管理の仕組みは最終的に何をもたらすのか?
製造管理のデジタル化により、工場は次のような改善が可能になります。
● 効果①:納期遵守率の向上
進捗がリアルタイムでわかるため、遅れが発生しても即座に対応可能。
● 効果②:生産性の向上
ボトルネックの特定、工程の最適化により、工場の総生産力が上がる。
● 効果③:在庫の適正化
工程内滞留やリードタイムの無駄がなくなり、過剰在庫が減少。
● 効果④:品質の安定化
不良原因が可視化され、再発防止が定着する。
● 効果⑤:原価の見える化
実績工数と材料消費が正確になるため、製品別原価が精緻になる。
■ 6. 全体像まとめ(第1弾とのつながり)
以下のように、第1弾で示した「生産管理全体像」のうち、今回は中核となる部分を深掘りしました。
【生産管理システムの中心】
マスター管理(BOM・工順)
↓
物流管理(材料 → 仕掛 → 完成)
↓
進捗管理(計画 → 指示 → 実績)
↓
品質管理(検査・不良・トレース)
■ 7. 次回(第3弾)について
次の第3弾では、以下の内容を解説します。
● 汎用的な生産管理システムを導入した場合の運用体制
• マスタ整備の手順
• 各部署の役割分担(生産管理/製造/品質/購買/倉庫)
• 定着のための教育・運用ルール
● 生産管理データの利活用(二次活用)
• 原価計算への活用
• 稼働率分析
• ボトルネック工程の特定
• 在庫最適化分析
として、経営層及び管理職の方が特に留意すべき内容になります。
