ビジネス書などで良くある「ビジネス成功事例」
これは実は結構怪しくて他人の「成功事例」には再現性が薄く時代背景やタイミング
など難しい要素を多分に含み、学びはあってもあまり参考にはならないようです。
むしろ成功事例よりも失敗事例には必ず法則性があり「地雷を踏まない」の方から
学ことは多いです。
そんな中、少し前の事例なので時効かと思いますので共有します。
あるお客様の改善相談の内容です。
当時何かとIT化のシステム導入が叫ばれ(今も同じですが)
営業マンの情報を共有して営業の効率化を行いたいと言う目標を掲げて
「SFAシステム」を導入して失敗したケースです。
SFAとは、Sales Force Automationの略称で、営業支援システムと訳されます。
営業を支援する手法、およびそのためのツールを指し、営業が商談を開始して
から受注に至るまでの進捗状況を可視化し、その活動の管理を行います。
良くある業務パッケージ製品です、SFAでググればいっぱい製品宣伝が出て来ます。
製品宣伝だけ見ると、何か夢のような経営者のお悩みを解決して会社の営業活動が
活性化する様な気がしますよね。
そんな営業トークで当時結構高額な投資を行い「SFA」を導入して結果使いこなせず
失敗したケースの案件です。
決して弊社が推奨したので無く、導入後に相談を受けた内容です。
これは決して稀なケースでは無く、今でもよくあるむしろやってしまいがちな内容です。
俗に言う「手段の目的化」の典型的パターンになります。
経営者の課題感から整理
- 営業マンのレベルが違うので平準化したい
- 優秀で忙しい営業マンのノウハウを可視化したい
- 営業を属人化しないように仕組み化したい
まとめると「営業の自動化(再現性)を行いたい」が目的です
これに関しては異論無く素晴らしい動機付けです。
それでも失敗したと言う事は、何か「失敗の地雷」があったと言う事ですね。
失敗の地雷
- 営業情報を共有するために全員に営業日報を義務化
- 顧客情報や進捗状況などを細く情報をインプット
- 当時モバイル環境は充実しておらず、帰社後にPC入力
まだまだいっぱいありますが、大体ここまでで想像出来ませんか?
- 営業担当に単なる事務仕事が増えた
- 事務仕事が増えた分の自身への見返り(メリット)が薄い
- 情報が多くなり上長も見切れずフィードバックも無い
- 経営層の思いと現場のギャップが埋まっていない
結果は目に見えていませんか?
結局、高いシステム導入したが担当は使わず、上長は使いこなせず
経営者の旗振りはいつしか不満の雨あられ
最後に残ったのは契約期間内のシステム費用とサポート費…
この内容で一度社内研修のケーススタディにすると良いと思います。
私なりのケーススタディです。
「手段と目的を履き違えた典型的な失敗パターン」です。
始まりは決して悪くはありません、製品の営業文句的な目的は明確ではありましたが
目的のゴール設定が何も無くて手順を踏まずにいきなりシステム化をしてしまった事です。
基本に立ち返りましょう。
・情報共有の名の下に「日報や報告書」の義務化
→ありがちですが、単なる共有の情報取集は事務仕事だけが増えます。
内容のフィードバックや情報の整理(2次活用)が不明確では単なる事務仕事が
増えただけで営業マンの本来に仕事以外で忙しくなっただけです。
・事務仕事が増えた分の自身への見返り(メリット)が薄い
→営業担当からすると情報共有後に自身のお仕事が楽になり、営業効率が上がるので有れば
積極的にもなるでしょう。しかし忙しさが増すだけでは疲弊しか生まれません。
・情報が多くなり上長も見切れずフィードバックも無い
→良くあるのがダメ上司(口が悪いぞ)の場合は最悪です、自身はアウトプットが少ないくせに
インプットだけを強要する上司、情報を吸い上げマネジメントする能力が無いと宝の持ち腐れ
でも、本当はこれを改善するのがSFAの役目なのですけどね。
・経営層の思いと現場のギャップが埋まっていない
→経営者が考える会社のためにと従業員が考えがちな自身の評価のギャップ
もっと言うと上司の成果持ち逃げにより人間関係の不信感。
ここが拭えないとどんな仕組みを検討しようが上手くいきません。
結構ネガティブ思考なで辛辣ではありますが、現場に巣食う事実でもあります。
これはSFAシステムだけにとらわれずにグループウエア導入にも同じ事が言えます。
最終的にはコミュニケーションのギャップをシステムで埋めたいと言うのが本音です。
それではポジティブな意見です。
「明るく活発なコミュニケーションを行なってください」って言葉で言うだけなら
苦労しません、ここで困っているから対応策を探しているのです。
過去にもコミュニケーションに付いてのブログを多数書いています。
ポイントは2つ
- 日報や報告書の形にとらわれず簡易的なメッセンジャー機能を使い短文で情報報告の敷居を下げる
- 入力情報は定期的に層別分析してノウハウや対応策に分けて活用方法を皆で考える(定例報告会は避ける)
これが上手く回る様な組織になれば「情報が集まり活用出来る」
そんな意識啓蒙が出来て来ると思います。
それが自然に出来て来ればシステムなどは入りませんがww
その中から再現性や自動化が出来そうな部分を定義してからシステムに置換する事で
成果は見えて来ると思います。
やはり先ずは社内か社外でこの辺りのファシリテータが必要なのかもですね。
この辺は日々の忙しさにかこつけて目を逸らしてしまいがちですが、この事前分析整理が
ない限りどんなシステムを使っても成果は薄いと感じる次第です。
そんな企業や担当者のお助けが出来ないか?
そんな思いで形にしたのが「まちの総務のサービス」
「企業向けデジタル推進サポートプログラム」です。
ご検討いただき一緒に考えていきましょう。
-PR-