システム提供のベンダーが如何に「良いシステム」と評しても
そこには忖度や宣伝と一定のバイアスが掛かりますので
お客様の生の声は非常に参考になり、私自身も出来るだけお客様のヒアリングを重要視しております。

そんな中、お客様の企業で「RPA導入評価を命題に活躍する担当者」の声を聴かせて頂いたので
担当の許可を頂き公開させて頂きます。(もちろん匿名です)

文章的に長いので数回に分けて報告です。

第一節:「RPA検討の背景」~「現状の課題」
第二節:「RPA導入事例の見学」~「試験適用から結論」

第二節:「RPA導入事例の見学」~「試験適用から結論」

【会社概要】

約160名(派遣パート含む)の製造業
主に検査装置の開発製造販売を行う会社

【RPA導入行政訪問の経緯】

 本年〇月、地元新聞にて「○○市役所RPA導入」と言う記事を見つけた。その後市政だよりでも同様の記事が載っていたため、記載されていた担当部署へメールで連絡を取り訪問のお願いを打診。快くお受け頂いた。
担当部署が情報システム部門ではなく「イノベーション推進担当」と言う事で、今回のRPA導入事例だけでなく、地方企業の導入状況と言った情報も拾えるのではと言う期待もあり、訪問する事とした。

【市役所RPA導入の経緯】

・全庁的にイノベーションを推進する方針が示されている。
・民間企業でRPA導入が進んでおり、行政での活用を模索する動きが起こっている。
・各課の課題として業務負担の軽減を求める声が多い。
これにより○○市でもRPAが使えるのではないかと言う事が始まり。

導入スキームや適用業務、課題などを探った。
ソフトは当社と同様のWinActorを導入。
所内で各部署に対してプレゼンを実施(この際実際のサンプル動画を見せる)、RPAが生かせそうな業務がないかネタ元を募集したところ、この時点でたくさん出てきたとの事。

※プレゼンの内容がわかりやすかったのか、受け側の理解度があったのか、ここは重要なポイントである。

余談ではあるがプレゼンでは極力「RPA」と言う言葉を出さなかったとの事。アルファベットとITに対する抵抗感を与えないようにするためらしい。
 その中で試験導入に向けてPC操作に親和性がある若手職員がいる部門に試験導入の協力を仰ぎ、適用業務の検討を開始した。財務会計システムへのデータ入力業務において画面遷移が多くて遅いと言う課題を抱えており、紙資料のデータ化(OCR)が出来なくてもExcelにまとめたうえで自動化する部分だけでも十分効果が見込めると判断し対象業務に決定。
シナリオ作成も業務側でやってみる事とした。

ベンダーによる操作研修を実施、自動化を想定する業務の概要や手順を書き下ろした上で1日の操作研修を受講。
受講後各部門でシナリオ作成を開始、シナリオ作成にあたり情報システムは問い合わせ先とし情報システムで解決できない問題に関してはベンダーSEに直接支援頂いた。
あくまでも作成は業務側で実施と言う前提。
 情報システム:実働2名、各人RPAに割いた工数割合は半分以下
 本年より試験導入を開始した。

【導入結果】

6部門25業務についてRPA化の目途が立った。
これら25業務で2028時間/年の削減効果が認められた(改善前約3000時間、削減率63%)
これにより業務の見直しや業務プロセスを可視化する事が出来た。また残業減・単純作業減による職員のモチベーション増加、さらには空いた時間で従来手が回らなかった業務に着手する事が出来るようになった。
※この点は定量的に効果として表れないが、非常に重要な効果であり、最大の目的と言ってもよい。

【試験導入と今後の課題】

・シナリオ作成や保守の中で、様々な課題に対応できる「RPAに精通した人材」からの支援が必要
・OCRなど、紙情報を電子化する事ができればRPA化の幅が大きく広がる
・複雑な処理であってもRPA化は出来るが、その場合、作成者以外の者によるメンテナンスが困難になる
・保守・運用していく上で全庁的なシナリオ作成ルールなど定める必要がある。
・端末入替やシステムの画面表示に変更があった場合、シナリオのメンテナンスが必要

【当社への適用を考察】

おおまかな進め方や導入効果に関してはある意味想定の範囲内である。今回の訪問で一番聞きたかった事はシナリオ作成においてシステム部門と業務側の業務範疇の切り分けであった。
この点について業務側がシナリオ作成をしたと言う事に若干驚いている。
本来RPAの売りのポイントではあるのだが、課題でも挙がっているように今後の保守メンテナンスを考えるとシステム側がもっと入り込まないと行く行くは問題になって来るのではないかと感じている。

現にネットを見る限り各部門で開発した管理しきれないシナリオが結局はシステム担当者に
舞い込んで来ると言う現象が発生しており
これらのロボットを称して「野良ロボット」と言う言葉も生まれてきている。
以前、一世を風靡したエクセルマクロと非常に似ている部分であり
いまだに古いマクロに 苦しめられている事を考えても、この点は当社に導入する際には今一度十分確認する必要があると感じる。
業務プロセスにおいても、役所の業務はある程度決まった手続きとなっている部分が 多いのではないかと察する。
そういう意味でも民間とは違った側面があるように思える。
 今回の件を成功事例として今一度当社状況と比較、今後の導入可否を引き続き検討して行くが
当社にはまだまだ手が付けられていない業務が多々あり、優先度としてやるべき案件が他にあるように思う。

【所感】

システム関連の話で民間ではない行政に訪問と言うのは初めての経験だった。
行政のシステムはベンダー丸投げと言うイメージが先行するが、今回のRPAに関しては全くそんな事はなく
民間のシステム担当者と何ら変わりはなかった。

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