前回はDX認定に関するアウトライン解説とその元になる「デジタルガバナンス・コード」の概要についてまとめました。
今回はその「デジタルガバナンス・コード」の内容を深堀して解説して見ます。

デジタルガバナンス・コードとは
 経済産業省は、2020年11月に、企業のDXに関する自主的取組を促すため、デジタル技術による社会変革を
踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を「デジタルガバナンス・コード」と
して取りまとめました。

デジタルガバナンス・コードの全体像

1.経営ビジョン・ビジネスモデルの策定
2.DX戦略の策定
3.DX戦略の推進
3-1.組織づくり
3-2.デジタル人材の育成・確保
3-3.ITシステム・サイバーセキュリティ

4.成果指標の設定・DX戦略の見直し
5.ステークホルダーとの対話

1.経営ビジョン・ビジネスモデルの策定

柱となる考え方
企業は、データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響
(リスク・機会)も踏まえて、経営ビジョン及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルを策定する。

認定基準
データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化の影響も踏まえた経営ビジョン及び
ビジネスモデルの方向性を公表していること。

規定で言う所の、最上位にあたる「経営ビジョン」になります。
具体的な活動内容としてはDX活動を全社を挙げて推進しますよ…的な意思表示になります。
なので、少し乱暴な表現にはなりますが、当たり障りのない内容になろうかと思います。

AI活用した事例作文

経営ビジョン・ビジネスモデルの策定

  1. 経営ビジョンの策定
    経営ビジョンは、データ活用やデジタル技術の進化がもたらす社会・競争環境の変化を的確に捉え
    リスクと機会を統合的に考慮した未来志向の方向性を示します。以下の要素を含めて策定します

・社会変化への対応: DXを通じて自社が直面する課題や成長機会を反映。
・中長期的な計画: 中期経営計画や統合報告書に基づく具体的な達成目標を設定。
・社会貢献: 自社の成長にとどまらず、業界全体や社会の課題解決を含む価値提供を目指す。

例: 「デジタル技術を活用して新たな価値を創造し、持続可能な社会をリードする企業を目指す」

ビジネスモデルの策定

ビジネスモデルは、経営ビジョンを具体的な施策として実現するための枠組みです。以下の観点を
取り入れて構築します

既存ビジネスモデルの強化と改善

・自社の強み(例: 高い顧客満足度や優れた技術力)を活かす。
・弱点を明確化し、デジタル技術やデータ分析を活用して解決する。

柔軟で迅速な対応力の確保

・市場変化や経営方針の転換に応じたスピーディな対応を可能にする体制づくり。
・グローバル展開を視野に入れたスケーラブルなモデルを構築。

企業間連携と価値創造

・デジタル技術を通じてデータや知見を共有し、他企業との連携によるイノベーションを促進。
・サプライチェーン全体を視野に入れた共創を目指す。

社会課題解決型の事業設計

・自社のDX戦略を活かし、社会課題や業界全体の問題解決に貢献する取り組みを内包。

成果指標と継続的な評価

経営ビジョンとビジネスモデルを実現するため、定量的および定性的な指標を設定し、定期的に進捗を
評価します。

・DX施策による収益拡大率
・顧客満足度向上
・社会課題解決への貢献度(例: CO2削減量など)

・DX戦略の策定

柱となる考え方
企業は、データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化も踏まえて目指すビジネスモデル
を実現するための方策としてDX戦略を策定する。

認定基準
データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化の影響も踏まえて策定したビジネスモデルを実現するための方策として、DX戦略を公表していること。

「戦略戦略の策定」と言われると急にハードルが高くなりますが
要点としては
DX戦略は、経営者が主体的に策定し、データとデジタル技術を活用して既存事業の強化と新規事業の
創出を実現することを目指す。

になりますが、多少総花的な表現にはなりますが
・データ活用
・データ管理強化
・企業間連携
・既存事業の変革
・新規事業創出

を可能な限り盛り込んでの申請になります。
あくまでもお国が求める理想の認定を受けるための基準ですので本質論とは大いにかけ離れますが
ここは「申請を通すことが目標」なので自己矛盾しながらも頑張って作成しましょう。
既に認定を受けている企業のHPなどが参考になろうかと思います。

本質論とかけ離れるとの理由

今回はあくまでも「DX認定を受けること」が目的ですが、DXの本質とはかけ離れていることも理解しましょう。

この「DX認定」の内容は多少余裕(人的)のある企業向けであり
DX推進の本質部分は現状の課題を深堀して優先順位をつけてDX(変革)を議論する所から始まります。
多くの失敗パターンとしてDX以前の「デジタイゼーション」を目指してしまい、デジタル化が手段でなく
目的として戦略策定する危険があるということを理解しましょう。
実際のところは本来本質の具体的問題点や課題から組み立てないと、KPIや達成度が凄く薄くなります。

「はい、デジタル化達成⇒DX完了」とはかけ離れた仕事で仕事を作る負のスパイラルに陥る危険も
認識して進めてください。

少し長くなりましたので次回は
「3.DX戦略の推進」の解説です。