誰も読まない規程を「使える情報」に変える方法

多くの企業で、社内規程は整備されています。
就業規則、旅費規程、慶弔規程、育児介護規程など
会社を運営する上で欠かせないルールです。

しかし現場では、次のような声をよく聞きます。
「規程がどこにあるか分からない」
「読んでも分かりにくい」
「結局、総務に聞いた方が早い」

つまり社内規程は存在していても、実際の業務ではほとんど活用されて
いないことが少なくありません。
その結果、総務担当者は次のような仕事を繰り返しています。

・制度説明
・規程の該当箇所を探す
・社員からの問い合わせ対応
・制度説明のメール作成

これは一見すると小さな仕事ですが、実際にはかなりの時間を消費する業務です。
ここにAIを活用すると、社内規程を現場で使える情報に変えることができます。
しかもこの仕事は、再現性が高く、どの企業でも効果が出やすい合理化テーマです。

なぜ社内規程は使われないのか

多くの企業の社内規程は次の特徴があります。
・文章が法律文書に近い
・内容が長い
・該当箇所を探しにくい
・PDFで共有されているだけ

つまり社員から見ると

「読むものではなく、保管されているもの」になっています。

その結果、社員は規程を確認する代わりに
総務に聞くという行動になります。
これが総務の問い合わせ業務を増やしている原因の一つです。

AIでできること

規程を「社員向け情報」に変える

AIは長い文章を整理し、分かりやすく説明することが得意です。
例えば就業規則をAIに読み込ませて、次のように依頼します。
「この就業規則を社員向けに分かりやすく説明してください」

するとAIは
・要点整理
・分かりやすい文章
・箇条書き
・具体例

などを整理してくれます。

つまり、法律文書 → 社員向けガイドに変わります。

現場で実践しやすい方法

社内規程を「FAQ化」する

もっとも効果が高い方法は、規程をFAQ形式に変えることです。

例えば慶弔規程の場合
社員は規程の条文ではなく、次のような疑問を持っています。

「祖父母が亡くなった場合、休暇は何日?」
「結婚した場合、お祝い金はある?」
「出産祝いの制度はある?」

これをAIに次のように依頼します。
「この慶弔規程から、社員がよく質問する内容のFAQを作ってください」

すると
Q 祖父母が亡くなった場合、休暇は何日?
A ○日間の慶弔休暇が取得できます。

という形に整理できます。
これにより社員が自分で調べられる情報になります。

もう一つの活用方法

社内規程の「要約版」を作る

就業規則は多くの会社で30〜80ページあります。
しかし社員が知りたい内容は、実は限られています。
・勤務時間
・有給休暇
・休暇制度
・副業
・懲戒

AIに「社員向けの就業規則ガイドを作ってください」と依頼すると
3〜5ページ程度の要約版が作れます。
これだけでも社員の理解度が大きく変わります。

定性的な効果

規程整理がもたらす変化

社内規程をAIで整理すると、現場では次の変化が起こります。
まず問い合わせが減ります。
社員が自分で確認できるため総務への質問が減少します。

次に説明業務が減ります。

制度説明のメールや資料作成が少なくなります。
さらに制度理解が進みます。
規程が読みやすくなることで社員が制度を正しく理解できるようになります。

結果として

・制度運用のトラブル減少
・社員満足度の向上
・総務の負担軽減

という効果が生まれます。

定量的な効果

時間とコストの削減

ここでは一つのモデルケースを考えてみます。
従業員100人の会社で総務への制度問い合わせが
◆1日平均5件あったとします。

1件あたりの対応時間は
・内容確認
・規程確認
・説明
◆平均10分程度です。つまり1日 50分
◆1ヶ月(20日勤務) 約1000分 約16時間

総務担当者の人件費を時給2,500円とすると
◆16時間 × 2,500円 月4万円
◆年間では 約48万円になります。
さらに規程整理によって問い合わせが半分になると
◆年間約24万円の削減効果になります。

これは直接コストだけの話です。
実際には
・説明メール作成
・制度誤解によるトラブル対応
・確認作業

なども減るため、実質的な効果はさらに大きいと考えられます。

なぜこれらの仕事は評価されにくいのか

社内規程の整理は
・目立たない
・短期成果が見えにくい
・裏方の仕事

しかし実際には会社の業務効率を静かに支える重要な仕事です。
そしてAIの登場によってこれまで時間がかかっていた
・文章整理
・要約
・FAQ化

が非常に簡単になりました。
つまり今は少ない労力で大きな効果が出せる業務改善テーマになっています。

総務の合理化は「小さな積み重ね」

大きなシステム導入だけが業務改善ではありません。

実際の現場では
・問い合わせを減らす
・説明を簡単にする
・ルールを分かりやすくする

こうした小さな改善の積み重ねが、総務担当者の負担を大きく変えます。
社内規程のAI整理は、その中でも再現性が高く
どの企業でも効果が出やすい合理化テーマの一つです。

次回はシリーズの最後として

総務業務をAIでマニュアル化する方法を紹介します。
実は多くの総務業務は「担当者しか分からない仕事」になりがちです。
AIを使うと、日常業務から簡単に業務マニュアルを作る方法があります。