
NAS接続トラブルから通信障害まで、数日の奮闘記
顧客向けのITサポートを続けていると、華やかな仕事よりも、
“地味だけど確実にストレスがかかる”案件にぶつかることがあります。
契約範囲外のインフラ系サポートは本来業務ではありません。
しかし、現場から「Help!」と連絡があれば、できる限り応えてあげたい。
それが信頼関係を築く上で、とても大切なお付き合いだと感じています。
今回ご紹介するのは、そんな“地味に大変だった”サポート事例です。
最初はNAS接続の小さなトラブルだったのですが、まさか数日にわたる大騒動に発展するとは…。
■ Day1:最初のヘルプは「NASに繋がらない」
お客様からの最初の連絡は、よくあるトラブルでした。
「共有ファイル(NAS)に接続できないので見てほしい」
最近の Windows11 やパッチアップデート適用後に、
古いNASや旧設定に接続できなくなるケースは他のお客様でも発生しています。
以前は“ゆるゆる”だった共有フォルダの認証が、
アップデートによってセキュリティ的に厳格化されたのが原因です。
ネット検索でも「Windows11 共有フォルダ 接続できない」
などで解決策が出てくる、比較的シンプルな内容。
今回はご近所のお客様ということもあり、すぐに訪問して対応。
念のため次回用の簡易マニュアルも作成し、お渡ししてサポート完了。
ここまでは、よかったのです。
■ Day2:翌日、再び「Help」…しかし内容が曖昧すぎる
翌日、早朝から担当者よりメッセージ。
「ネットが繋がらなくなって仕事になりません。昨日の対応が原因でしょうか?」
ここで嫌な予感が…。
まずは訪問前に状況をメッセンジャーで整理します。
• 全PCが繋がらないのか?一部だけなのか?
• Wi-Fiルーターは再起動済み?
• 機器のランプは正常?
しかし先方は、「昨日の作業後からおかしい気がする…」
という誤解を抱いている様子(泣)
時間を調整して現地訪問へ。
■ 現場確認:原因は“社内”ではなく…
事務所内を確認してわかったことは以下の通り。
• Wi-Fiルーターは正常に動作
• 光回線装置もランプは正常
• 配線奥に怪しげなUTM(セキュリティ機器)を発見
• ネットで障害情報を調べると、プロバイダー側で障害対応中の表示が…
つまり、原因は社内の設定ではなく 通信事業者側の障害 の可能性が濃厚。
私の作業とは全く関係ないトラブルです。
ただし、ユーザー側からは「昨日の設定が原因?」と疑われがち。
ここがサポート担当のつらいところ…。
幸い、以前おすすめしたモバイルWi-Fiがあったため、
暫定策としてそちらで業務を継続してもらい、その日は帰宅。
■ Day3:依然として復旧せず、誤解も解けず…
翌朝も状況は変わらず。担当者からは、「トラブル前の状態に戻してください…」
というメッセージ。
まだ“私の作業が原因”と思い込まれている(泣)
仕方なく再訪問。
• モバイルWi-Fi経由ではネット接続OK
• しかしルーター経由の印刷・共有フォルダはNG
• プロバイダーの障害情報(ネット公開情報)は曖昧
• メーカーに電話も繋がらず、ネット上にも状況説明もなし
現場も私も時間ばかり消耗していきます。
■ その後:ようやく“ポツポツ復旧” → 完全回復へ
夕方頃、ようやく
「なんとなく繋がったり、切れたり…」という状態に変化。
徐々に通信が安定し、最終的には正常化。
長い戦いがようやく終わりました。
…この数日間のストレスは一体何だったのでしょうか。
■ トラブル対応を通じて感じたこと
大変な案件でしたが、得られるものもあります。
• 「困った時にすぐ寄り添ってくれる人」という信頼関係がより深く構築できた
• 今後も同様のインシデントは必ず起こる
• 対応策(事前通知・バックアップ回線・障害情報の共有方法など)を整える必要がある
今回の経験は、サポートのポリシーや手順を見直す良いきっかけになりました。
■ 次回予告:中小企業のITトラブルに備えるための“現実的な対策”をまとめる
今回の体験を踏まえ、
「事前に準備できること」「避けられるトラブル」「避けられないトラブルへの備え」
など、次回の記事で整理していきます。
