~IE知らなくてもOK!現場で“すぐやれること”から始めよう~

これまでの記事で、
・ムダの見える化
・効果を数値で測る

といった改善の基本を学んできました。

でも、こんな声もあるかもしれません。

「理屈はわかったけど、結局何をすればいいの?」
「人も時間もない中で、無理なくできることは?」

今回はそんな現場のために、IEの知識がなくても、今日からできる具体的な改善手法をご紹介します。
ポイントは、「小さく始めて、着実に変える」こと。

■ 改善の基本は「ムダを減らすこと」

まずは原点に立ち返ってみましょう。
改善の目的は「ムダ・ムリ・ムラをなくす」ことです。

ここで紹介するのは、費用ゼロ・すぐできる・シンプルな改善ばかり。
大がかりな設備投資や専門知識は一切不要です。


◎ 1. 動作改善 ― 無駄な動きをなくすだけで効率UP!

作業者が「手を伸ばす」「探す」「しゃがむ」「立つ」など、
1日に何百回もしている動作の中に、実はムダがたくさん隠れています。

● すぐできる例:

  • よく使う工具を「腰の高さ・手の届く範囲」に配置
  • 作業中に立ったり座ったりを繰り返している → 作業台の高さを調整
  • 工具を探す時間がかかる → 工具に番号や色でラベルをつける

👉たった数秒のムダでも、1日積み重なると大きなロスになります。

◎ 2. レイアウト改善 ― 「移動=ムダ」を減らす

作業台、棚、部品置き場、機械などの位置を少し変えるだけで、
歩く距離やモノの運搬がぐっと減ります。

● すぐできる例:

  • 「Aの工程が終わったら、すぐB工程に渡せる位置」に配置変更
  • 部品棚を作業台のすぐ後ろに置く
  • 完成品置き場が遠い → キャスター付き台車に変更して効率化

👉 歩く・運ぶ時間は直接利益を生まないムダです。

◎ 3. 5S強化 ― 整理・整頓・清掃・清潔・しつけ

「5S」は改善の基本中の基本。
やや古く感じる言葉かもしれませんが、5Sができていない現場ではムダ改善も進みません。

● すぐできる例:

  • 工具や部品の「定位置」を決め、テープで囲って表示
  • 週1回、部署ごとに「使っていない物リスト」を書き出す
  • ゴミ箱や掃除道具の場所を一目でわかるようにする

👉 「どこに何があるか」がすぐにわかる状態=迷わない・探さない・止まらない現場につながります。

◎ 4. 作業の標準化 ― 誰でも同じやり方で、ムダ・ミスをなくす

現場では、「人によってやり方がバラバラ」ということがよくあります。
これがミスやロスの原因に。そこで「標準化」が重要です。

● すぐできる例:

  • 作業手順を簡単な図で壁に貼る(写真+番号でもOK)
  • ベテラン作業者のコツを「一言メモ」で共有
  • 「ここで手が止まる」などの注意点を赤ペンで表示する

👉 **標準化=ミスやムダの発生を防ぐ“お守り”**です。

■ 改善は「良いことを当たり前にすること」

「改善」と聞くと、すごいアイデアを出さないといけないと思われがちですが、
本当に大事なのは、「現場で当たり前のことを、ちゃんとやること」です。

それを少しずつ積み上げていけば、自然と生産性は上がっていきます。

■ まとめ:小さく始めて、みんなで育てる改善文化

今回紹介した内容はすべて、「誰でも・すぐに・道具なし」で始められるものばかりです。

  • 動作改善で、時間と疲労を減らす
  • レイアウト改善で、歩かない・探さない工場に
  • 5Sで、整った現場と働きやすさをつくる
  • 標準化で、誰でも同じ品質と効率に

これらを「できることから一つずつ」始めてみましょう。

次回予告:【第5回】改善は文化になる ― IE導入の成功事例とポイント

次回は、実際にIE的改善を取り入れて成功した中小企業の事例をご紹介します。
また、改善活動を続けるためのコツや、社内に広げていく工夫についても解説します。