企業さまの研修を行わせていただく中、伝える側の講師としても
色々な学びにつながっております。
前回は「外部研修の価値とは何だろう?」について
「トランザクティブメモリー」と「あなたの困ったは既に解決している誰かがいます」が重要で
参加者に相互コミュニティ作りが「価値」ですと伝えました。
研修会(セミナー)から学ぶ社内変革の近道
今回は「社内でデジタル化やDX変革を行うための近道」について書きます。
DX化と叫ばれて既に10年以上が経過、デジタル化に関しては更に30年以上経過
なのにまだまだ自社の現場では進んでいないのが実情…
進まない原因はもちろん様々ではあり研究も進んでおりますが
私自身が多くのお客様と接する中、一定のポイントが見えて来ております。
その辺を整理してお伝えします。
研修会(セミナー)から学ぶ社内変革の近道2選
・なぜなぜ分析のススメ
・横断組織による活動
なぜなぜ分析のススメ
なぜなぜ分析とは、問題の原因を探り、根本的な解決策を見つけるための分析手法です。
トヨタ自動車が開発したトヨタ生産方式の代表的な手段で、製造業やIT業、建設業などさまざまな
業界で活用されています。
製造業の方は何と無くこの言葉は聞いたことはあろうかと思います。
システム化課題などもこの手法が役に立ちます。
いくつかケーススタディです。
ケース①紙回覧をワークフローシステムに置き換えたい
「社内の決済や書類回覧が紙、ワークフローシステムを導入したい」
これは結構良くあるケースです。あなたの会社でも無いですか?
この対策結果がワークフローシステム導入になっていますが…実はもう少し深掘りが必要です。
こちらでも解説していますが
一般的な大掛かりなワークフローよりも身の丈に仕組みの方が柔軟性があります。
DXの観点からもっと追求してみると、何と無く組織形態での回覧作業をもっともっとシンプルにして
「回覧責任者の責任と権限」まで追求しますと、関係者には共有ファイル上やメールで通知
最終決済者に許可だけもらう仕組み位に削ぎ落とします。
これには理由があり「責任と権限」を明確にした場合、それぞれの回覧者の役割を再定義します。
ある方は文書ミスの指摘なのか、不足部分の追加なのか、何と無く役職者だから回覧しているだけ
…目くら印で責任取れるのか?そこから徹底的に絞り込みフロー自体をシンプルにします。
購入物件であれば課長や部長決済はいくらまで、いくら以上は役員稟議決済とか
有給申請などであれば、上長が承認された段階で決済、処理する人は情報共有で可能かもです。
先ずは紙での回覧自体をシンプルに変革してシステム化検討しましょう。
ケース②工場内でものが散乱している、在庫管理の仕組みを導入したい
在庫管理が出来ていないので探すことが多い、在庫管理システムを導入したい
これも結構あるある、では無いですか?
でもここにも大きな落とし穴があります。自社の状況分析が出来て無くてシステム先行で
失敗するケースです。
システム化以前に考えたり、先ずはお金をかけずに出来る事は山ほどあります。
しかしその分析をすっ飛ばしてシステム化「手段の目的化」で失敗するケースを山ほど見ています。
ケース③品質管理課題、外観不良が多いので検索をAI化したい
これも結構な頻度で出てくる課題です。
こんな考え方もありますが、実際は厳しいとは思いますが
この課題も間をすっ飛ばして、AIがあれば何でも解決してくるだろう…と
短絡的な対策案になります。
ここは少し難しい問題や課題にはなりますが、源流管理が出来ているか?
ここに帰結します。
生産活動を行う中、どんなに頑張っても一定数の不良はでます。(ゼロはあり得ません)
であれば、中小企業レベルで陥る発想は実は不良の原因はそれぞれありますが
層別してみると、色々と絞れて来ます。
材料の問題、生産ジグの問題、装置のコンディション、人的ミス
先ずはこれらの原因追求が先です…多くがここをすっ飛ばして、外観検査(全件検査)で
逃げてしまいます。
これは企業規模や立場で仕方ないこともありますが、単価の安い加工物に人件費かけて全件検査
コストバカ上がりで、マイナス要因しかありません。経営危機です。
「分析による対策優先順位付けや設備技術力を付ける」が正解にはなりますが、企業規模的に
厳しいのも理解はしています。
しかし、その根本原因を追求せずに仮に検査自動機を導入しても不良は増え続け何の対応もできません。
金をかけて一見、労務費削減と考えそうですが結構危険な香りがします。
ベタではありますが、QCサークル的な要素や外部専門家の助言もいただくべきです。
将来的にはAI自動外観検査も出て来るでしょうが、まだまだやることはいっぱいありそうです。
・横断組織による活動
最後のヒントです。「横断組織による活動」これも企業規模によっては難しいのも理解はしていますが
中小企業だから出来る事かも知れません。
大手企業など人が潤沢にいる場所などでは組織横断的な部署が存在したりします。
中小など小規模の会社などは、組織が縦割りだったりします。上長は兼務だったりもしますが。
多くが縦割り組織で、この組織形態にもメリットデメリットがあります。
普段特に問題無く、生産活動が行われている場合はそれぞれの縦割り部署で責任を持って進捗します。
しかし、トラブルが起きたり、DXなど全社横断的な活動をする場合には縦割り組織での弊害が出て来ます。
それがまさに「責任と権限」です
縦割り部署の場合は基本自部署以外の仕事は他部者の仕事です。
自部署内で完結できれば問題ありません。しかし事、横串の必要性が出た場合
部署間格差や縄張り根性が出てうまくいかないケースが存在します
「これは私の担当では無い」「忙しいので手伝えない」「もっと人がいれば良いのに」こんな感じです。
先ずは「収集されたデータを分析しましょう」となった場合、製造現場はデータ入力が仕事になってます
そのデータを活用するのは技術部門かもです。
この場合、出たデータの処理はそれぞれの役割で行いますが
過去データ(ビッグデータ)分析はどこの部署でしょうか?
技術部門かも知れませんが日々の仕事(データ活用)でいっぱいいっぱいです
その挙げ句「ヒマがあればやるのですが…」と言う言い訳だけで終わります。
特にデジタル化対応などは多くの人や部門が関係しますので縦割り組織では対応が難しくです。
仮にシステム部門を作ったとしても、現場のプロでは無いです。
結果、現場や技術からあれこれ注文を聞き、外部のメーカーに丸投げします。
丸投げされたメーカーは要望に応えようと過剰な(身の丈以上の)仕組みを提案して来ます。
そうしてどこかで無駄な経費が削られて使い難い(身の丈以上の)仕組みシステムが乱立します。
悲しいかなこれは現実です。
この内容は決してデジタル知識が必要な訳でもデジタル人材が不足している訳でもありません。
短絡的にシステムが救世主と誤解して「手段の目的化」が起こしている欠陥部分になります。
もう少し追求しますと、ヒントも出て来るかと思いますが
一緒に考えて行きましょう。