今話題の「RPA」関連で、企業のトップや担当者とのお話を伺う中
皆さん声をそろえて言うのは

「うちは遅れていますから」

と業務効率化やIT化に対して揶揄するケースが非常に多いです。
その際、私が言わせて頂くのは

「御社が特別ではありません、ほとんどの企業が同じような状況です。」

と答えさせて頂いております。
これは大手、中小関係なく皆さん同様の考え(意識)を持っております。

私自身も「アドバイス」を求められることもあり
一定の回答は持っておく必要があります。

先ずは、対応策の前に
なぜこの思考に陥るのか?課題は理解していても改善出来ないのか?
この辺を自身の経験と現場とのヒアリングの中で紐解いてみます。

効率化を阻む、現場のリアル

答えは簡単「人」です。
しかし、この人を変えるのが一番難しいと言うのが結論になります。

特に日本人は生真面目です

先ずはこれに尽きます、サラリーマンは皆さん真面目です。
なので言われた仕事はきちんとこなしますが、それ以外は苦手です。

一般論で恐縮ですが
タスクを上から片付けるのが仕事と理解し、優先順位付けが苦手です。
上位のタスクでトラブルと次の仕事に進みません、そこでテンパり次のタスクに遅れが生じ
結果的に「物理的に忙しい」⇒「精神的に忙しい」と言う思考が重なります。

優先順位付けが出来てToDo(段取り)が出来れば良いですが、その部分の効率化教育
を行けていないのでお仕事(タスク)を全て並列で考える傾向が多いです。

誰も責任を取りたくないし出来れば触れたくない

これはISO取得企業で有れば耳にした事は有ると思いますが
ISO要件の中に「責任と権限」と言う項目があります。
職位によって、誰がどこまでの権限を持ち、責任を担保するかと言う内容です。

これは比較的社内の品質管理面では出来ているケースが多いですが
これを部門内の業務に置き換えると意外に曖昧です。

曖昧と言うより、管理職に委ねられています。
悪い言い方をすれば、担当者は上司に確認すれば「自身の責任は免れるという事」です。
一見正しい判断に見えますが、ここが落とし穴になります。

一つの仕事(タスク)の責任と権限が曖昧なので「確認のための確認作業」が横行します。
担当者「上長が確認OKだから問題なし、何かあったら上長の責任・・」
上長:「確認作業が多いから面倒!!この位は自身で判断してよ・・でも一応OKしておくか」(憶測含むww)

これは結構あるあるで、コンピュータで集計した内容でさえ上長の「確認の確認」
を行いこれが結果的に作業の効率化(合理化)の阻害要因になります。

自身で考える余裕がない

ここまで見て頂くと予想が付くと思いますが
会社の中には「仕事が忙しい」と言う言葉が自身の「安定剤」となる風潮があります。
「暇だ!!」と言うと「仕事が出来ない奴」と言うレッテルであったり
違う事に興味を持つと「あいつは暇なのか?」と言う空気もあります。

ましてや総務系(事務職)はルーティンに加え飛込み、緊急、社長から指示諸々
日々忙しくプレッシャーと戦っています。
そんなこんなもあり、効率化や新たな取り組みを落ち着いて考える余裕がありません。

そこに来て、経営者から「RPAを検討してもっと効率化しろ」などと指示が出ようものなら
「何故、私なりに頑張っているのに理解されないの?」的な思考になるのは想像にやさしいです。

知識不足に負目を感じている

これは圧倒的に多いです。
日々進化するIT技術や3文字キーワード
興味は有っても、調べたり勉強している時間も取れず
進化も早いので自分事と言うより遠い世界や違う世界のお話に聞こえます。
経営者に至っては、様々な研修や雑誌から「耳障りの良い」情報しか入手されず

「わが社も導入するぞ、さっそく担当で検討しなさい」的な無茶ぶり
自身でもあまり学ぼうとしません。
特にコンピュータとかPCとかは苦手意識の上位に上がります。

どうにか廻っている

実はこれが一番の肝です。
忙しい、人手不足、知識不足と諸々に課題は有っても人海戦術でどうにか廻っています。
不足したら人材派遣で担保すれば目先の問題は回避できます。

今がどうにか廻っているので、あまり未来の事や次の展開には目が向きません。
むしろ出来るだけ見ないようにしている傾向が強いです。

そもそも、費用対効果の投資と言う概念が無い

これは多少語弊もあるのでやんわりとしますが

大企業の場合の稟議書の理由には「〇%の効率化」「人員削減」とかの
投資的な要素(費用対効果)での購入になります。
しかし、中小企業では目先の課題解決での理由がメインになります。
「作業要求に応えるために設備増設」

この辺の違いにより、自動化システムや効率化業務に先行投資と言う考え方が弱く
結果的にコンピュータシステムや改善投資には消極的になります。

この様に全てがあてはまる訳ではありませんが
御社でも心当たりがある内容ではと思います。

立場立場での違いがあり、全て大手と同様のアプローチでは進まないと言う所です。

しかし、この入り組んだ状況下でも「改善の糸口」は見つけなくてはいけません。
これが中小企業でのアプローチになります。

次回に続きます。