
業務改善や職場改革の支援を行う中で、もっとも大きな壁に直面することがあります。
それは、「本当は改善できると分かっていても、意見が言えない」ということです。
■ 表面化しない「遠慮」という問題
「こうすればもっと良くなるのに」
「これはやり方が古いと思うけど言いづらい」
そんな“気づき”を持ちながらも、行動に移せない場面。企業でも、学生のクラブ活動でも
組織のどこにでも見られる現象です。
特に若手社員にとっては、
• 先輩のやり方を否定しているように思われたくない
• 新人のくせにと思われたくない
• 和を乱すようなことは避けたい
といった感情が「発言する勇気」にブレーキをかけてしまいます。
■ 問題の再定義:「意見が言えない」ではなく「言い方の設計がされていない」
ここで問題を再定義してみましょう。
❌「意見が言えない人が悪い」
⭕「意見を安心して言える場や仕組みが足りない」
つまり「人の性格」ではなく「組織の構造」の問題だと捉えることで、見えてくる対処法が変わります。
多くの場合、「改善案がある=すでに現場は困っている」というサインです。にもかかわらず
それが上に届かないのは、利害関係や人間関係のバイアスが邪魔をしているからです。
■ 解決のヒント:第三者の存在がブレークスルーになる
実は、この問題の解決は難しくありません。“利害の無い第三者”の介入がカギになります。
たとえば、外部のコンサルタントや社外メンター、プロジェクトファシリテーターなどが、現場の声を
代弁・翻訳して上層部に届ける仕組みをつくる。これだけで、ぐっと発言しやすくなる空気が生まれます。
■ 若手ビジネスマンへのアドバイス
あなたが若手であっても、こんなふうに考えてみてください。
• 「意見を言えないのは、自分だけではない」と知る
• 「声を上げる」=「対立」ではなく、「提案」である
• 自分で言いにくければ、上司や外部の力を借りてもよい
• 小さな“気づき”が、大きな改善に繋がる可能性がある
そして、もしあなたが意見を言える立場にあるなら、“言えない人の存在”にも目を向けることが
チーム全体を強くします。
■ まとめ:改善は、声から始まる
組織の改善は「正しい意見があるかどうか」ではなく、「正しい意見が表に出せるかどうか」に
かかっています。
「本当はこうしたい」「やりづらいと感じている」――そんな現場の声が聞こえた時
それはチャンスです。声が出始めた瞬間こそ、改善の入り口なのです。
その声をどう受け止め、どう拾うか。若手のあなたの一言が、職場を動かすかもしれません。
※この記事が、あなたの職場の“壁”をひとつ壊すヒントになれば幸いです。