現場を支えるための全体像と、ショート動画展開の意図

第3回では、外国人を受け入れる側の日本人・企業担当者が、
実は多くの「言語化されていない負担」を抱えている現実を整理
しました。

第4回では、
なぜ今回のガイドブックは「外国人向け」ではなく「受け入れる側向け」なのか
そして、その中身をどのような考え方で構成しているのかを紹介します。

外国人向け資料は、すでに世の中に多い

まず前提として、
外国人向けの日本生活・就労ガイドは、すでに数多く存在しています。

  • 生活マナー
  • ゴミの分別
  • 職場での基本ルール
  • 日本語表現の注意点

どれも大切で、必要な情報です。
しかし現場では、それだけでは解決しない問題が残ります。

現場で止まるのは「日本人側の判断」

実際に起きているのは、外国人がルールを知らないことよりも、

  • どこまで説明すべきか
  • 注意していいのか
  • 文化の違いとして受け止めるべきか
  • 業務上の問題として扱うべきか

といった、日本人側の判断が止まってしまう場面です。
ここが整理されていないと、

  • 対応が属人化する
  • 担当者ごとに基準が変わる
  • 「何となくモヤっとした状態」が続く

という状態になりがちです。

このガイドブックが目指している役割

今回のガイドブックは、「正しい対応マニュアル」を作ることが目的ではありません。

目指しているのは、

  • 現場でよく起きる誤解や違和感を、あらかじめ共有する
  • 日本人側の考え方・判断軸を言語化する
  • 「どう考えればいいか」のヒントを渡す

いわば、現場で考えるための“地図”を用意することです。

ガイドブックの全体構成(考え方)

内容は、大きく次のような軸で構成しています。

1. 生活面
・なぜ日本では細かいルールが多いのか
・時間、音、共有スペースへの感覚
・「迷惑」という言葉の背景

2. 仕事面
・報連相、ルール遵守、評価の考え方
・「言われていない=OK」ではない理由
・信用がどう積み重なるか

3. 文化・マインド編
・空気を読む文化
・本音と建前
・我慢、配慮、距離感

それぞれを、「外国人が悪い」「日本人が正しい」という構図ではなく、
なぜそう感じるのかという視点で整理しています。

なぜ“冊子(PDF)”という形なのか

外国人と働く日本人のための「まちの総務」ガイドブック

この内容は、

  • 研修資料として
  • 担当者の引き継ぎ資料として
  • 困ったときの確認用として

いつでも立ち返れる形であることが重要です。
そのため、ブログや一過性の資料ではなく、
冊子(PDF)としてまとめることに意味があります。
「読ませる」よりも、「そばに置いておける」存在を目指しています。

そして、なぜショート動画に展開するのか

ショート動画はこちらから
一方で、冊子だけでは届かない層がいるのも事実です。

  • 忙しくて読む時間が取れない
  • 全体像より、具体例を知りたい
  • 感覚的に理解したい

そこで、ガイドブックの各項目を短い事例ベースのショート動画に分解します。

  • 1テーマ1分前後
  • 正解を示さない
  • 「こういう考え方もある」と提示する

冊子は“全体像”、動画は“入口と気づき”
この二つを組み合わせることで、現場に届く形を作ろうとしています。

「共生」は理念ではなく、運用の話

ここまでのシリーズで一貫しているのは、共生を理想論として語らない、という姿勢です。

  • 誰かに合わせさせる話でもない
  • 我慢を美徳として押し付ける話でもない
  • 正解を決める話でもない

現場が少し楽になること。
判断に迷ったときの支えになること。
そのための道具として、このガイドブックと動画シリーズを位置づけています。

次回予告

次回は、
このガイドブックをどのように現場で使ってもらいたいか
そして「まちの総務」という立ち位置で、
どんな協力の輪を作っていきたいのかをまとめます。

単発の制作物ではなく、少しずつ育てていく取り組みとして、
どんな未来を描いているのか。
第5回で、そのスタンスをお話しします。