
「やらない方がマシ」という無気力のループ
「頑張ったのに報われなかった」
「提案しても通らない」「評価されない」「感謝もされない」
サラリーマン生活の中で、こうした“やり損”体験は決して珍しくありません。
しかし、それが繰り返されるとどうなるか——
次第に人は「やらない方がマシ」という無気力のループに入っていきます。
本章では、この“やり損”現象のメカニズムを解き明かし、そこから抜け出すための
具体的なアクションを提案します。
■ なぜ「やり損」が起きるのか?
- 成果が見えづらい仕事の増加
• 改善提案やマニュアル作りなど、「目に見えにくい」成果は評価されづらい
• 成果物よりも“日々の対応力”や“上司の印象”が評価される風土 - 評価の仕組みが不明瞭・属人的
• 評価者の主観に大きく左右され、「頑張った」こと自体が正当に反映されない
• 結果よりもプロセス重視、またはその逆など、組織基準がブレている - “やりっぱなし”が常態化
• 成果を発信・報告する場がない
• 他者に依存して着地しないまま、自然消滅してしまう改善活動
■ 自分でできる「やり損」からの脱却法
“やり損”をなくすには、まずは自分自身の仕事や成果を「見える化」し
適切なタイミングで「伝える」工夫が欠かせません。
- 成果の“記録”と“発信”をセットで行う
• 毎週の業務ログに「今週やったこと」と「得られた成果・気づき」を記録
• チームミーティングなどで、自分の取り組みを口頭でも共有
ポイントは「自己アピール」ではなく「ナレッジ共有」の体で発信すること
- “成果は小さく、着実に”を意識する
• 一気に大きな改善を狙うと、途中で頓挫する危険性大
• まずは5分短縮、1ステップ削減など「誰でもわかる小成果」を積む - やる前に「なぜやるか」「誰のためか」を明確に
• 着手前に“目的”を一行で書き出すことで、意義のぶれを防止
• 「これって、そもそも必要?」と一度立ち止まるクセをつける
■ 第三者の力が必要な“やり損構造”の打破策
自分の努力だけでは突破できない“組織構造的なやり損”も存在します。
● 評価制度そのものの見直し
• 「頑張ったこと」や「改善した行動」に対しても評価ポイントがつく制度設計
• 形式的な目標管理ではなく、実行ベースのフィードバックが主役に
● 第三者(コーチや上司)との1on1の仕組み化
• 「何をして、何が進んだか」を定期的に共有する場を設ける
• 第三者に対して進捗を伝えることで、“やりっぱなし”を防止
● 成果・改善活動の公開プラットフォームを作る
• 他部署や社内SNSでの「Good Job」投稿欄など、活動の可視化と称賛が生まれる場をつくる
• これにより“報われた感”を社内文化として育てられる
■ やり損の連鎖を断ち切るのは、自分の「見える化」から
「頑張っても意味がない」という想いは、やがて職場に「無関心」という静かな毒をもたらします。
一方で、同じ仕事でも「なぜやるか」「どう伝えるか」を意識するだけで、
そこには成果が生まれ、意味が生まれ、信頼が生まれていきます。
“やり損”を減らすということは、自分の努力をきちんと届け、
小さな成果でも「やってよかった」と思える好循環をつくること。
それがサラリーマンとしてのやりがいの根本を支えるのです。