第1回では「忙しいから改善できない」という“思考停止”を打破することをテーマにしました。
第2回では「忙しさを可視化する」ことで改善の糸口が見えてくることをご紹介しました。

では、いざ改善を進めようとしたときに必ず出てくる壁――
それが 「誰がやるのか?」問題 です。

「改善の必要性は分かっている。でも、現場には人が足りないし、誰も旗を振る余裕がない」
こうした声は、中小製造業の現場で非常によく聞かれます。

そこで今回は、この“改善人材不足”を乗り越えるための現実的な3つの対策をご紹介します。

解決策①:外部の力を借りる

まず有効なのは、外部リソースを積極的に活用することです。

  • 外部の改善専門家
  • 商工会議所や支援機関
  • 同業者コミュニティ

こうした外部の知見や支援を取り入れることで、「改善を進めたいけれど、現場に人がいない」
というジレンマを解消できます。

外部に丸投げするのではなく、“伴走型”で改善を支援してもらう のがポイントです。
現場メンバーと一緒に取り組むことで、ノウハウが社内に残り、次の改善へとつながります。

解決策②:「一緒に考える時間」を確保する工夫

人が足りないから改善できない――
実はこの言葉の裏には、「考える時間が取れない」 という課題があります。

ここで効果的なのが、短時間・少人数での マイクロ改善会議 です。

  • 毎週15分だけ、改善テーマを話す時間を設ける
  • 会議では「課題を一つだけ挙げ、次回までの小さなアクションを決める」

このように“無理なく続けられる形”にすることで、改善活動が止まらず前進していきます。

改善は一度に大きく変える必要はありません。小さな改善を積み重ねる文化 を育てることこそが
最終的に現場を強くします。


解決策③:一人を“改善の旗振り役”に育てる仕組みづくり

最終的には、現場の中から 「改善の旗振り役」 を育てることが欠かせません。

  • 日常業務と改善活動を両立できる仕組みを用意する
  • 改善の成果をきちんと評価・共有する
  • 小さな成功体験を積ませ、モチベーションを高める

最初は一人でも構いません。その人が改善の中心となり、周囲を巻き込んでいくことで
現場全体に「改善が当たり前」という空気が広がっていきます。

外部支援と組み合わせれば、短期間で旗振り役を育てることも可能です。

まとめ:改善は“人がいないからできない”ではなく“仕組みで動かす”

改善活動において「人材不足」は避けられない課題ですが、乗り越える方法は必ずあります。

  • 外部の力を借りる
  • 短時間でも「考える時間」をつくる
  • 一人の旗振り役を育てる

この3つを組み合わせることで、現場は確実に改善を進められるようになります。

忙しい現場だからこそ、“仕組み”を使って改善を動かすことが鍵 なのです。

👉 次回は、ここまでのまとめを踏まえて、【DXコラム 総括編】についてお話しします。