AIの最終形は、誰にもわかりません。
しかし、その「わからなさ」こそが、AIの本質であり、最大の可能性なのかもしれません。

■ 多くの人が「AIをまだ理解していない」理由

多くの方(特に私たちの世代)は、これまで「答えのある世界」で生きてきました。
仕事の中での改善・効率化・合理化、それらは、明確なゴールがあり
そこに向かって最短距離を進むことが価値でした。

このとき、デジタル技術は「手段」として機能しました。
「どうやって速く正確に処理するか」「どんなツールを導入するか」それは最適化の延長線上にあったからです。

しかし、今目の前に現れたのは、“合理化ツール”ではなく、“思考そのものを再定義する存在”
まさに「現代版・黒船」とも言えるAIが、これまでの常識や価値観を根底から揺さぶっています。

■ 答えを求める思考と、AIの「未知との遭遇」

我々世代の多くは、ついこう尋ねてしまいます。
「AIは何に使えるの?」「どう使えばいいの?」と。

しかし、今のAI(特にLLMやAGIの領域)は、もはや「使い方を覚えるツール」ではありません。
「新しい発想を共に創る存在」なのです。

AIは、これまでの人間の思考フレーム、過去の成功体験や経験則を超えた「別次元の発想」を提示します。
それは、いわば「未知との遭遇」
私たちはまだ、その「遭遇体験」を受け止めるだけの準備ができていないのかもしれません。

■ いま必要なのは「マインドの再設計」

では、どうすればAIを正しく活かせるのか?
それは「答えを求める思考」から「問いを創る思考」への転換です。

AIに「何ができるか」を問うのではなく、
AIと共に「何を実現したいか」「社会をどう変えたいか」を考える。

この発想転換こそが、次の時代のリーダーシップにつながります。
とはいえ、私自身もその明確な答えを持っているわけではありません。
むしろ「答えがないこと」こそが、今のAI時代の本質なのだと思います。

■ 次の進化のキーワード:「マルチプラットフォームAI」

現在、多くの企業はAIを「単体製品」として扱っています。
生成AI、画像AI、音声AI――それぞれが“便利ツール”として評価されていますが
まだ「全体像」には至っていません。

今後のAI進化のカギは、マルチプラットフォーム化にあります。
つまり、複数のAIが連携し、課題を理解・分担・実装する世界。

あなたが課題を投げると、AIが最適なツール同士をつなぎ、即座にアプリやAPIとして成果を形にしてくれる。
かつてはエンジニアだけの特権だった「開発力」が、誰にでも開かれる時代になるのです。

■ AI時代の希望とは

AIの未来は、まだ誰にも見えていません。
でも確実に言えるのは「使う人」よりも「問う人」が強くなる時代だということ。

AIは私たちに、
「何を効率化するか」ではなく、
「何を創り出すか」を問いかけています。

その問いにどう向き合うかが、これからの社会を決めていく。
AIは「答えのツール」ではなく、「未来を共に考える仲間」なのです。

🪶 さいごに

AIを語ることは、未来を語ることと同義です。
不安もありますが、かつて黒船を見た日本人が感じたであろう「衝撃と好奇心」が
今再び私たちの前にあります。
この知の開国をどう受け止めるか、それが、次の時代への第一歩です。

次回以降この課題を少し掘り下げてみます。