5S、カイゼンと言えば工業系の方には馴染みもあろうかと思います。
しかし、ものづくり現場では職種を問わず活用が出来るという吉例を
とある、牛牧場の知合いからお話を伺う機会がありました。
訪問した際、お部屋の書庫の何か見慣れた言語の本が
「5Sテクニック」「現場改善発想法」という2冊
「牛牧場と5S」最初はピンと来ませんでした。
伺うと、30年位前に牛舎での5S推進を行ったそうです。
キッカケはその方のお兄さんが「5Sテクニック」発行の編集長をやっていた縁で
当時はまだ言葉の走りで有った「トヨタのカイゼン」とか「5S」
工業界でこれから浸透して行くであろう「日本のものづくり文化」
これをいち早く、第一次産業でも実践した方でありました。
氏曰く、ものを作る(乳牛を生産)農業も工業も同様
先ずは5Sで徹底的に整理整頓して
現場を綺麗にしながら断捨離を行い、それを定例化(しつけ)として進める事で
無駄な作業、必要な作業が明確になり
その中でJIT(ジャストインタイム)的要素を取り入れ
機械化出来る部分に投資を行い、自動化ラインを立ち上げ
今でも最先端の牛舎モデルが出来上がっているそうです。
詳しくは専門外なので説明出来ませんが
餌の自動配合と自動給餌、糞尿の回収と二次活用によるエネルギー化
全自動乳搾り 諸々
全国の牛舎の方々が見学に訪れ参考にしているそうです。
私自身も前職で「5S」や「トヨタのカイゼン」と言う内容は
聞きかじった事はありますが
具体的業務や効果に関して俗に言う 「もうかる5S」とかはピンと来ませんでした。
「風が吹けば桶屋が儲かる」的な
5Sを行う事で巡り巡って「経営品質に約立つよ」と言うイメージでしたが
今回、5Sとは対極に有ると思っていた一次産業の具体的現場を見る事で
「5S」の凄さを目の当たりにしました。
牧場主の方は、まだ30年前 工業系でも有る特定の大手で
この考え方が始まった頃に、既に一次産業でも応用出来ると考えていて
周りの牛農家の方々からすると「変わり者扱い」だったそうです。
流行りの言葉で言うところの「ファーストペンギン」だったわけです。
「ファーストペンギン」とは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛びこむ1羽のペンギンのこと。転じて、その“勇敢なペンギン”のように、リスクを恐れず初めてのことに挑戦するベンチャー精神の持ち主を、米国では敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼びます。
凄くないですか? 30年も前ですよ。
そこから自ら発案し、仲間達にお声掛けしながら
自動化設備開発会社、大学の専門研究教授、農研機構、農業系補助金活用
色々な出逢いや縁に恵まれ今が有るとおっしゃってました。
印象に残った言葉に
「私はものぐさだから、如何に楽できるか考えていたらこうなったら」
シンプルですが潔くまさに今の全ての業種(ものづくり現場)に
応用出来る考え方を数十年前から実践。
かぶき者が時代を作ったという事例でした。