いよいよ、長年私たちの仕事を支えてきた Windows 10のサポートが2025年10月14日に終了 します。
ニュースでは「あと数日で4億台のPCが危険にさらされる」といった刺激的な見出しも目立ち
企業のIT担当者からの相談も増えてきています。

「数十〜数百台のPCを抱え、古い機種も多い」「Windows 11に対応できない端末もあり
入れ替え予算も厳しい」こうした現実的な声は、多くの中小企業で共通する悩みでしょう。
では、どう対応すべきなのでしょうか。

■ サポート終了=即リスクではない

まず冷静に整理したいのは、「サポート終了=すぐに危険」という単純な図式ではない、という点です。
確かにサポートが終了すると、Windows 10には セキュリティ更新プログラム が提供されなくなります。
これは理論上、脆弱性が放置されるという意味ではリスクですが、すぐに被害が広がるわけではありません。

近年のWindows OSは、初期の頃と比べて セキュリティ基盤が格段に進化 しています。
標準搭載の「Windows Defender」をはじめとする防御機能も強化され、一定の安全性は担保されています。
メーカー側の方でも多層防御が進んでおり、「Windows 10だから危険」という単純な構図ではなくなっています。

■ 本当に危険なのは“使う人”のリテラシー

筆者がむしろ懸念しているのは、OSよりも利用者側のリテラシー(モラル) です。
フィッシングメール、SNS経由の偽サイト誘導、生成AIを悪用した詐欺メッセージなど
最近のサイバーリスクは「人の判断」を狙う巧妙な手口が中心です。

いくら最新のWindows 11にしても、ユーザーが不審なリンクを開けば被害は防げません。
つまり、OS更新だけでなく、社員一人ひとりのセキュリティ意識を高める ことこそ
今求められている対策です。

■ 現実的な対応策:予算化と優先順位の見極め

もちろん、サポート終了を無視するわけにはいきません。
理想はWindows 11への移行計画を立て、順次更新していくことです。
ただし限られた予算の中では、次のような優先順位を意識するとよいでしょう。

  1. 外部と接続が多いPC(営業、総務など)から優先的に更新する
  2. 生産現場など閉じたネットワーク内の端末は段階的に対応する
  3. 当面はWindows Defenderやウイルス対策ソフトを最新状態に保つ
  4. メール・USB・クラウド利用のルール整備と教育を強化する

また、Microsoftは「有償延長セキュリティ更新プログラム(ESU)」の提供も予定しています。
一時的な延命策として検討するのも一つの現実的な手段です。

■ 4億台問題はメーカー側も無視できない

現在も世界で約6億台のWindows 10が稼働しており、そのうち最大4億台はハードウェア要件のため
Windows 11へ移行できないとされています。
この規模を考えれば、Microsoft側も単に「ユーザー責任」と切り捨てることは難しいでしょう。
今後はDefenderやクラウド連携などで、一定のセキュリティ補完策が提供されることも期待されます。

■ まとめ:慌てず、現実的に備える

サポート終了という言葉は不安をあおりがちですが、
重要なのは「過剰反応せず、リスクの優先順位を見極めて行動する」ことです。

Windows 10の終焉は、単なる脅威ではなく、
「社内のIT資産を見直し、セキュリティ教育を進める好機」と捉えることもできます。
冷静に、しかし確実に。企業としての情報セキュリティをもう一段階高めていきましょう。