
【失敗事例①】高額なシステムを導入したが「誰も使わない」
「ツールありき」で進めた結果、現場に拒絶された話
■ こんな背景で起きた失敗
ある製造業の企業が、現場の進捗管理と工程調整の効率化を目的に
ITベンダーに勧められるまま月額数十万円の業務管理システムを導入。
トップの判断で契約は進められたものの、現場への説明や教育が不十分なまま
本格運用を開始してしまいました。
■ 何が問題だったのか?
- 入力作業が増え、現場の作業時間が圧迫された
- 専門用語が多く、そもそも操作が理解できない
- 紙ベースと並行で管理していたため、二重管理になり混乱
- 結果、ほとんど誰も使わなくなった
「これ、結局何のためにあるの?」という空気が蔓延し、経営層と現場に温度差が発生。
システム導入からわずか半年で、運用は実質ストップ。大きな投資が無駄になってしまいました。
■ リカバリー方法
- “現場の声”を吸い上げ、簡単なExcelベース管理に一旦戻す
- 現場担当者の意見を取り入れた、最小構成のツールを選定
- 新たなツール導入時には全社員を対象に「体験会」や「説明会」を実施
- 「入力する理由」「見る人の目的」を明示して、使う意味を共有
■ 学びのポイント
「便利なシステムがあればうまくいく」は幻想です。
ツールはあくまで“手段”であり、現場の理解と合意がなければ定着しません。
一度“失敗”したからといって諦めるのではなく、小さな単位で再挑戦することが重要です。
【失敗事例②】改善会議を始めたが「話し合うだけで終わる」
アクションが伴わず、時間と信頼を失ったケース
■ こんな背景で起きた失敗
経営者が「改善が必要だ!」と現場の危機感を共有し
毎週のように“改善ミーティング”を実施するように。
現場からも様々な意見が挙がり、いくつもの課題やアイデアがリストアップされました。
しかし数ヶ月経っても、「結局、何も変わっていない」という声が現場で広がり始めます。
■ 何が問題だったのか?
- 会議で出た課題に明確な“担当者”と“期限”が設定されていなかった
- 記録があいまいで、次の会議で話がループ
- 優先順位が定まっておらず、誰も着手しないまま時間が経過
- 現場から「また口だけでしょ」と信頼が低下
最終的には、改善ミーティングそのものが形骸化し、モチベーションも失われました。
■ リカバリー方法
- 会議の進行役を外部のファシリテーターに一時的に委託
- すべての改善提案に「担当者・実行期限・完了確認方法」を明示
- 週1回→月1回に会議頻度を下げ、実行の時間を確保
- 小さくても良いので、“実行した成果”を必ずフィードバック
- 成果が出たら、社内で称賛・共有
■ 学びのポイント
改善活動は、「考えること」よりも「動くこと」が大切です。
実行に結びつかない会議は、現場の信頼を失うだけです。
タスクの明確化と小さな成功の積み重ねで、改善文化を定着させることが
最も効果的なリカバリーです。
🔍 総括:失敗は“遠回りの成功”に変えられる
改善やDXは一度で成功するものではありません。
特に小規模事業者では、「やってみたけどうまくいかなかった」という声も多く聞かれます。
しかし、その“失敗”が蓄積されることで、次の挑戦が確実に現実的になります。
🔸 小さく始める
🔸 現場と一緒に考える
🔸 改善の“目的”を忘れない
この3つの軸さえあれば、何度でも立て直すことが可能です。
むしろ、「最初からうまくいった企業」の方が珍しいのです。