
ここまでの3回で、サラリーマン生活における活動や改善を阻む3つの「壁」――
• 第1章:忙しさ
• 第2章:やり損
• 第3章:しがらみ
について、それぞれの原因・状況・対策を深掘りしてきました。
最終章では、これらを横断的に捉え直しながら、
「個人としてできることはどこまでか?」
「それ以上は、どう組織として変えていくのか?」
という根本的な問いに向き合います。
■ 忙しさ・やり損・しがらみに共通する「構造の壁」
これら3つの壁には、共通して以下のような構造的問題が見え隠れします。
- 目的と手段が逆転している
• 本来の目的(成果、信頼、改善)ではなく、手段(資料作成、会議、従属)が目的化している - 評価軸が曖昧で「何を頑張ればいいのか」が不明確
• 成果よりも“印象”、プロセスよりも“上司の目線”が支配的
• 自己肯定感や成長実感が得られにくい - 行動よりも「空気」に支配されている
• しがらみ、前例、上司の好みなどが「やらない言い訳」として定着している
結果として――改善のタネはあっても芽が出ない。芽が出ても踏み潰される。
■ 個人でできること:ブレない自分軸の構築
このような構造の中でも、個人にはできることがあります。
むしろ、「誰かが変えてくれる」ことを待っていては、一生変わりません。
- 自分の“価値基準”を持つ
• 「誰にどう見られるか」ではなく、「自分は何を大切にしたいか」で判断
• 働く目的(生活/成長/影響力)を明文化してみる - 社内だけで完結しない視点を持つ
• 社外の勉強会、異業種交流、SNSなどで「別の世界の基準」を取り入れる
• 社内で通じない意見も、「外では普通」なことがある - 「選べる自分」になるための布石を打つ
• 資格取得、副業、キャリア相談、スキル習得などを通じて“脱・依存”を進める
• 「この会社にしがみつくしかない」という恐れから自由になる
■ 組織が担うべきこと:制度と文化の再設計
一方で、個人の努力には限界があります。
改善の芽が根付き、継続して育つためには、組織側にも変革が必要です。
- 「成果を見える化し、称える」仕組みづくり
• 改善活動の共有会、称賛文化、フィードバックの仕組み化
• 見えない貢献にも光を当てる文化づくり - 自律を前提としたマネジメント
• 「指示待ち」ではなく「任せる」スタイルへ
• 1on1やOKR(目標管理)などの対話的マネジメント導入 - 組織に“余白”を与える勇気
• ギリギリまでリソースを詰めない(=考える時間、工夫する余地)
• 失敗を恐れない実験的プロジェクトの導入
■ “壁”を超えるとは、「変わることをあきらめない」こと
- 忙しさに潰される。
- 頑張っても意味がない。
- 関係性がすべてを縛る。
そんな現実に直面しても、自分の意志で「動く」人は、やはり存在します。
そして、そうした個人の“火”が、やがて職場を照らし、周囲を動かしていくのです。
最後に大切な視点を一つ。
変化は「仕組み」ではなく「関係性」と「意志」から始まる。
制度や仕組みはあくまで補助輪。
「こうしたい」と思う人間がいて、信頼し合える仲間がいてこそ、本当の改善が始まります。
■ おわりに:あなたが変わることで、組織も変わる
この4部作シリーズが、サラリーマンとして壁にぶつかるすべての方にとって、
「無力じゃない。変われる余地がある」という希望の種になれば幸いです。
個人と組織、どちらも変わるべきときが来ています。
まずは、自分から――。