
職場では、明文化されていない「空気」や「暗黙の了解」が多く存在します。
それがうまく機能すれば、チームワークや信頼につながりますが、逆にそれが動きづらさや
ストレスの元になることも少なくありません。
「この人に話を通さないと進まない」
「あの部署とは関わらない方が無難」
「前例がないからやらない方がいい」
これらの“見えない壁”こそが、改善や挑戦を阻む【しがらみ】の正体です。
■ しがらみはどこから生まれるのか?
- 上下関係・立場による心理的制約
• 「部長の機嫌を損ねないように」
• 「若手の自分が意見するのは僭越かも」
→ 言いたいことを言えず、結局“現状維持”が優先される
- 組織間・部署間の力学と縄張り
• 部署ごとにルールや文化が違う
• 他部門のやり方に口を出すと「越権行為」扱いされる
→ 横の連携が進まず、無駄な確認や調整に追われる
- 同調圧力と「前例主義」
• 「うちはずっとこうやってきたから」
• 「目立つと損するよ」という空気
→ 新しい提案や改善案が浮かびづらくなる
■ 自分でできる「しがらみ」への対処法
- 「関係の棚卸し」で無駄なつながりを減らす
• 定期的に関係性を見直し、「付き合い続ける必要のない関係」を見極める
• 「この会議、本当に自分が出る必要ある?」と疑ってみる - 個別での対話力を高める
• 会議よりも“1対1”で本音を引き出す
• 対立ではなく、理解から入る姿勢を意識する - 小さな成果を味方にする
• 「実績」という共通言語が、しがらみを超える説得力になる
• まずは影響範囲の小さい改善から始めて、信頼を積み上げる
■ 第三者の力が必要な「しがらみ」構造の突破法
しがらみは多くの場合、「個人の努力では超えられない構造的問題」に根ざしています。
● 組織文化の可視化と診断
• 外部ファシリテーターによるヒアリング・分析を通じて、「沈黙のルール」を言語化
• 組織の“空気”を主観でなくデータで把握する
● 組織横断型の改善チーム設置
• 部署を越えたメンバーで構成された「横串チーム」により、しがらみに風穴を開ける
• 本業とは別の「越境活動」を通じて、関係性のリセットを図る
● メンタル・ハラスメントの早期対処
• 「あの人の目が怖い」「何を言っても否定される」などの声には、心理的ケアや専門対応を
• 社内相談窓口や外部窓口の整備・周知も重要
■ しがらみは、悪ではない。けれど、時に変えねばならない
しがらみとは「信頼」や「歴史」から生まれる側面もあります。
完全に断ち切るべきものではありません。
しかしそれが、“声を上げづらい”“前に進めない”理由になっているならば、
私たちはそれと向き合い、時に揺さぶりをかける必要があります。
自分が変わる、関係が変わる、組織が少しずつ変わる。
その始まりは、たった一人が「それ、おかしくないですか?」と口にすることかもしれません。