良くある質問です。
これは現場や経営者だけでなく、同業(システム屋)やIoT研究団体からも相談を受けます。
IoTと言う言葉が先行してしまい「安い、早い、便利、乗り遅れるな!!」
企業で言うと「弊社もIoTを考えて行かないと」とか
提案する側は「IoTをビジネスに繋げたい」
IoT的なイメージ先行型で進んで行く中での質問です。
目的が漠然としすぎて、ある意味思考停止になっている状況を耳にします。
私が思うに、この様に悩んでいるうちは「ビジネスに繋がらない」
悩んでいるなら「事例を探して」と言うのが回答ですが・・・
これでは身も蓋も無いので
ターゲットや目的を細分化して考察して見ます。
ビジネスでは良く「鳥の目虫の目」などと表現しますが
ここに「IoT」を絡めると分かりや易くなります。
オーナー社長の製造業を例に取ります。
社長「IoTが流行っているみたいだ、社内でIoTを検討しなさい」と言うさっくりとした指示」
社員「よしIoTを勉強して会社に役立てたいな」と情報収集
あれこれ調べて、概算費用、手間工数、実績見積 ・・立派な提案書を社長にプレゼン
社長「こんなにお金が掛かるの?・・・様子見だ」
じゃんじゃん
こんなコントを繰り広げているのが現状です。
では、どのように進めるか?
【社内ターゲットを明確にします】
第一弾として誰にターゲット当てて進めるか?
①経営者:鳥の目
②現場:虫の目
第二弾として何をしたいかを明確にします。
③不良率の改善(QCD:Quality、Cost)
④生産性向上(QCD:Delivery)
一般論として分かりやすいのが①+③か①+④になります。
先ずは、経営者(特にオーナー経営者)は自身のわがままをもっと言って、自分が見たい(見るべき)物だけに絞ってIoTを進めます。
よく「経営者向けIoTセミナー」で私が投げかける質問で
社長は自社の「作業数量(生産数)や歩留(不良数)は把握していますか?・・・」
殆どの企業は「・・・」です。
そこで畳み掛けます。
私「現状の作業数量や歩留が判らないのに生産性上げろ!!不良を無くせ!!」と
漠然と指示されても現場は混乱しますよね。
そんな指示を受けた社員は「何とかせねば!!」とざわついて色々と知恵を絞って「虫の目」で改善を進めます。
しかし社長には中々具体的な活動が見えずに悶々と「何やってんだ!!早くしろ」と叱咤が飛ぶ
この様な中からはIoTビジネスは産まれません。
オーナー経営者が自身のわがままをIoTに求めます。
「先月の売り上げ実績は?生産量は?不良率は?」の数値の見える化から始めます。
IoTを「鳥の目」に使用して頂きます。
その際はあまり欲張らずに、
作業数カウントだけとか、良品数だけとか、装置の稼働状態だけとか
始めの第一歩が重要です。(ここは相談下さい)
工場の状態の見える化だけに絞って進めます・・その際分析とかビッグデータとか、こ難しい付加価値は後にします。
先ずは、現状の漠然とした工場のデータを社長が気になるデータだけに絞ってアナログからデジタル化します。
その結果、工場の今が見えます⇒今が見えると良さ悪さ加減が見えます。
数値で示すと、目標が決まります。
例 ・作業効率化を今より2%目標に改善
・品質(歩留)を今より5%改善
そうする事で、より具体的な改善目標が提示されます。
社長の仕事はここまでです・・・・
次は社員がこの数値目標に向かってアイディアを出す番です。
そのために施策を作りスケジュールを作りPDCAを廻します。
社長はその報告を聞くだけです、そして評価するだけです。
その際に、ボトルネックとなる設備や工程に対して詳細なデータ取得用(IoT)を導入してデータ分析と改善に入るのです。
ここが「虫の目」になります。
総括します。
冒頭の質問に有った様に、「どこから手を付けたら良いか?」の回答は自身に聞け!!になります。
一度、社内で「鳥の目、虫の目」を議論して下さい。
鳥の目(俯瞰)で見て、課題をあぶり出し虫の目(ボトルネック)の活動を行う。
この様な進め方がセオリーと思います。
なので、本質を見極め「安い、早い、便利、乗り遅れるな!!」と提唱だけする専門家やマスコミに煽られてはいけません。
そんな想いのある経営者さまとお仕事が出来れば幸いです。