
〜ワンマン上司の行動パターンとその背景〜
DXを推進したいと考えても、最初にぶつかる壁は「技術」ではなく「人間関係」だ。
そう痛感している方は多いのではないでしょうか。
特に中小企業では、経営者や上司の影響力が絶大です。
その中でよく耳にするのが「ワンマン上司、ワンマン経営者」という存在。
彼らはなぜ他人の意見を受け入れず、あくまで自分の考えを優先してしまうのでしょうか?
そこには、性格的な問題だけでなく、育ってきた環境や経営のプレッシャーといった背景もあります。
なぜ「ワンマン型」になってしまうのか?
1. 創業期を支えてきた「成功体験」
ある町工場の社長は、20代から現場に立ち、全て自分の判断で会社を大きくしてきました。
人材も資金も限られた中で頼れるのは自分だけ。その過程で「自分が決めれば会社は動く」という
感覚が強く根付いたのです。
その成功体験は誇るべきものである一方、「他人の意見に頼る必要はない」という思考に結びつきがちです。
2. 「失敗できない」という強いプレッシャー
別の製造業の部長は、大手から中小企業に転職してきました。
経営基盤が脆弱な会社では、一度の判断ミスが命取りになることもあります。
その緊張感の中で「決定を下すのは自分」「失敗を認めれば立場が揺らぐ」と考え
つい他人の意見を排除してしまうのです。
3. 組織文化が「トップダウン」を助長してきた
長年「社長が絶対」という文化の中で育った人は、知らず知らずのうちにそのスタイルを継承します。
社員も「どうせ社長の言う通りになる」と諦め、忖度する空気が広がります。
こうした風土が「ワンマン」を強化し、結果的に意見を受け入れにくい構造を作ってしまうのです。
ワンマン上司に多い行動パターン
事例を交えて整理すると、次のような特徴がよく見られます。
✔ 会議での一幕
部下が「新しいシステムを導入したい」と提案しても、すぐに「うちには合わない」と切り捨てる。
しかし、数か月後に取引先が同じシステムを使って成功しているのを聞き、まるで自分の発案のように
「うちもやるぞ」と言い出す。
✔ 失敗の責任転嫁
納期遅れが発生した際、根本原因は上司の無理なスケジュール設定だったのに、「現場の対応力が
足りない」と部下に責任を押しつける。
✔ 外部の権威には弱い
社内提案は退けるのに、業界団体やコンサルタントが同じことを言うと「それは良い」と受け入れる。
✔ イエスマンを重用
反対意見を言う部下は疎まれ、結局「言われたことだけやる」タイプの社員が評価されやすい。
これらは決して「人格の悪さ」から出ているわけではありません。
むしろ、彼らなりの「会社を守るための習慣」「生き残り戦略」が形を変えて現れているのです。
DX推進の第一歩は「人を知ること」
DXを進めたい現場の方にとって、ワンマン上司は大きな壁に見えるかもしれません。
しかし、その特徴や背景を理解すれば、「どう動けば協力を得られるか」の糸口が見えてきます。
👉 DX推進は技術よりも人間関係がカギ。
その本質を押さえることが、最初の一歩です。
次回予告
次回は、いよいよ実践的なアプローチ。
テーマは 「正面対決はNG!間接的に動かす施策」。
特に 「経営者・上司のアイデア」と思わせるテクニック を取り上げ、
「敵視する」のではなく「うまく動かす」方法を紹介します。