
■ 総務・管理部門にもAIの波がやってきた
Microsoftが発表した「AIが得意な40の職業」。
リストの中には、会計・財務・人事・事務・分析など、まさに中小企業の総務・管理業務の
ど真ん中にある職種が数多く含まれています。
でも、悲観する必要はありません。
AIが得意ということは、「AIが味方になりやすい領域」ということ。
つまり、総務部門こそAIを活用することで、最も効率化の恩恵を受けられる立場にあるのです。
■ “AI×総務”が描く新しい管理のかたち
総務の仕事は「何でも屋」と言われがちです。
経理、人事、労務、法務、購買、社内調整…その守備範囲は広大。
人手が足りない中で、あらゆる業務が集中してしまうのも現実です。
そんな現場でAIが力を発揮するポイントは大きく3つ。
1. 定型業務の自動化
請求書のチェック、経費精算、勤怠管理、備品発注、契約書整理など、
ルールやパターンが明確な業務は、AIとRPAツールで大幅に自動化できます。
2. 情報整理と報告作成の効率化
会議資料、月次報告、稟議書、労務レポートなど、
“まとめて報告する系”の作業をAIが下書きしてくれるだけでも、作業時間は半減。
3. 問い合わせ対応の半自動化
社内チャットボットで、「休暇申請のやり方」「出張精算の期限」など
毎回同じ質問に答える時間を削減。人間は例外処理に集中できます。
■ クラウド&SaaSで“見える化と共有化”を進める
AI活用とセットで重要なのが、クラウド・SaaS環境の整備です。
紙やExcel管理をやめ、共通のプラットフォームで管理するだけで、
社内の「情報の滞り」や「担当者依存」が一気に減ります。
たとえば
• 会計は「freee」「マネーフォワードクラウド」
• 勤怠は「KING OF TIME」「ジョブカン」
• 契約管理は「クラウドサイン」
• 社内文書は「Google Workspace」「Notion」
といった具合に、“AI対応型SaaS”を選ぶと、今後の拡張性も確保できます。
まちの総務としては、まず「クラウドに業務を寄せる」ことが最初の一歩です。
■ スモールBPOという選択肢
もう一つ見逃せないのが、“スモールBPO”(小規模アウトソーシング)の活用。
大企業では当たり前になりつつあるBPOも、中小製造業ではまだハードルが高い印象があります。
しかし最近は「一部の業務だけ」「月数時間単位で」依頼できる柔軟なBPOサービスも増えています。
• 給与計算だけ外部委託
• 経費精算データ入力だけを代行
• 労務手続きだけ専門社労士にアウトソース
こうした“部分委託+AI+クラウド”の組み合わせが、
人員不足や属人化に悩む現場の実効策になりつつあります。
■ AIが“奪う”のではなく、“支える”
AI導入の本質は「人を減らす」ではなく、
“限られた人員で、持続的にまわせる仕組みをつくること”です。
AIが定型を、クラウドが共有を、BPOが補完を担う。
そして総務は、それらを組み合わせて社内を支える「仕組み設計者」になる。
まさに今こそ、総務が経営の要になる時代が来ています。
■ まとめ:AIは“まちの総務”の心強い仲間に
AIが得意な分野を知ることは、
“自分たちがどこを伸ばせるか”を知ることでもあります。
忙しさや人手不足を嘆くよりも、
「AIでできることはAIに」「人にしかできないことは人に」
そんな柔軟な線引きが、これからの総務の進化を後押しします。
AIは脅威ではなく、地域の企業を支える“新しい相棒”。
まちの総務としても、AIやクラウドをうまく使いこなしながら、
現場の笑顔が増える「働き方の仕組み化」をこれからも提案していきましょう。
