「やれ」と言っても現場は動かない

製造業の管理職・監督者であれば、
一度は「5Sを徹底しよう」という言葉を口にしたことがあるのではないでしょうか。

整理・整頓・清掃・清潔・しつけ。
いわゆる「5S」は、製造現場の基本中の基本です。

しかし
分かっているけれど、なかなか続かない。
これが多くの現場の正直な実情ではないでしょうか。

5Sは「知らない」のではなく「続かない」

現場に聞くと、こんな声が返ってきます。
• 忙しくてそこまで手が回らない
• 何が正解か分からない
• 言われるたびに基準が違う
• 片付けても、すぐ元に戻る

一方、管理側はこう感じています。
• 何度言っても変わらない
• 5Sの重要性を分かっていない
• 指示しないと動かない

実はこれ、どちらも間違っていません。
問題は、5Sそのものではなく
「5Sの進め方」と「見方」が噛み合っていないことにあります。

管理側と現場のズレは、どこで生まれるのか

5Sが進まない現場をよく見ると、共通点があります。
• いきなり完成形を求めている
• ダメ出しから入っている
• チェック=評価になっている
• 改善後の確認がされない

この状態では、現場はこう受け取ります。
「どうせまた言われる」
「一時的にやればいい」
「本音は生産優先なんでしょ?」

結果として、5Sはイベント化し、やがて形骸化していきます。

「忙しい」「めんどくさい」は本音か?

よく聞く言葉に
「忙しいから5Sまで手が回らない」があります。
しかし、これは
5Sを軽視しているから出る言葉ではありません。

多くの場合、
• どこから手を付ければいいか分からない
• やっても評価されない
• 正解が分からない

こうした不安や曖昧さの表現なのです。
つまり、現場はサボりたいのではなく
判断基準を求めているのです。

5Sを「管理」から「対話」に変える

ここで一つ、視点を変える必要があります。
5Sは
守らせるルールではなく
現場を理解するための道具だという視点です。

そこで有効なのが
「工程内見守り」という考え方です。
これは、
• ダメ出しをするための巡回ではなく
• 現場の状態を“一緒に確認する”活動

チェックする側とされる側が
同じ目線で現状を見ることを目的とします。

いきなり5Sを完成させようとしない

5Sは一朝一夕で定着するものではありません。
だからこそ重要なのは、
• まず現状を知る
• 次に小さな改善をする
• それを確認する

この回る仕組みを作ることです。
次回は、この工程内見守りをどのように設計すれば失敗しないのか
具体的に解説します。

次回予告
「5Sはチェック表から始めない」工程内見守りの正しい設計方法