
■ 伝える仕事をしている私が、学びに苦しんでいる
私は日頃、デジタル技術や業務効率化、ITの導入支援といったテーマで
“伝える側”の仕事をしています。
ときには企業研修やセミナーも担当し、「わかりやすく説明すること」が仕事になっています。
そんな私が最近、金融リテラシーを学び直していて、痛感しています。
「伝える」と「わかる」の間には、越えがたい壁がある。
そして、“学ぶことの苦しさ”を忘れてはいけない。
■ 学ぶとは、恥をかくことから始まる
金融用語は難解で、制度も複雑。
NISA?ドルコスト?つみたて?株と投資信託の違い?
正直、最初の数日はほぼ頭が真っ白でした。
わからないことを調べるたびに新しい言葉が出てきて、
そのたびに検索して、読み直して、また迷って……
思わず、画面を閉じたくなる日もありました。
「こんな初歩的なことも知らなかったのか」
「今さら何をやってるんだろう」
でも同時に思い出しました。
――ああ、これって、私がいつも人に説明しているとき、
きっと相手が感じている“戸惑い”と同じなんだ、と。
■ 知識だけでは人は動かない。感情がついてこそ
デジタルも金融も、知識があれば活用できる、とは限りません。
“わかってはいるけど動けない”――
多くの人が抱えるこのモヤモヤの正体は、
感情との折り合いにあるのではないでしょうか。
- 怖い
- 面倒くさい
- 恥ずかしい
- やる気が出ない
これらの感情を無視して「学べばいい」「慣れれば簡単」
とだけ伝えても、心には届きません。
■ 伝える人もまた、学ぶ人であるべき
今回の学び直しを通して、私は再認識しました。
「伝えること」は、知識の伝達だけではなく、
感情に寄り添うことでもあると。
知識は体系的に学べば身につきます。
でも、相手の気持ちに共感しながら教えるには、自分が一度“迷子”になってみる必要がある。
そして「自分も同じだったよ」と言える強さが必要です。